高橋義郎のブログ

経営品質、バランススコアカード、リスクマネジメント、ISO経営、江戸東京、などについてのコミュニティ型ブログです。

<バランススコアカード / リスクマネジメント公開セミナー>

高橋義郎の公開セミナーです。皆様のご来場をお待ちしています。

◆開催日時 : 2016年8月31日(水)
                第一部:9:15~12:30、第2部:13:30~17:00

◆開催会場 : 江戸東京博物館(両国)学習室1

◆プログラム: 第1部:マネジメントシステムの有効性を高めるバランススコア
            カードの実践的理解と活用

        第2部:ISO31000 をベースにしたリスクマネジメントの理解と
            マネジメントシステムでの活用

◆参加費用 : 第1部・第2部受講(8,000円)
        第1部または第2部のみ受講(5,000円)

◆お申込み : (株)渡辺コンサルティングオフィスまで
        URL : http://www.wco9001.com

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<リスクマネジメント(ISO31000)セミナー>

高橋義郎の公開セミナーです。皆様のお申込みをお待ちしています。

◆開催日時 : 2016年8月30日(火)9:30~17:00

◆開催会場 : グローバルテクノ(JR高田馬場駅から徒歩5分)

◆お申込み : 下記URLへアクセス

http://www.gtc.co.jp/semn/other_iso/rmp.html

◆プログラム:f:id:yoshiro_t:20160812120208j:plain

(以上)

なぜ中期経営計画に市場・顧客の視点が見えないのか?

 やはりB2B型ビジネスの伝統的製造会社では、市場や顧客の視点を考えるのは無理なのかな?、と思いながら、某社の中期経営計画を眺めていたことがある。7月半ばにコメンテーターとして参加した、大手企業の経営企画部門が集まった会合での話だ。その会社は、卓越したエクセレントカンパニーを目指すことを中期経営計画に謳っているのであるが、例えば、ビジネスエクセレンスモデルやバランス・スコアカードのフレームワークに照らし合わせてみると、財務、変革プロセス、人財などの視点は明らかになってはいる。しかし、残念なことに、市場と顧客の視点に関する計画や目標が、あまり見られないのである。

 全く市場や顧客の視点が考慮されていないわけではない。例えば、その企業の中期経営計画では、「開発段階においては市場・顧客ニーズを的確に捕捉する」「顧客ニーズの多様化への対応」「市場・顧客に密着した開発の強化」「研究テーマ立案時の市場・顧客ニーズの視点の強化」「顧客の要望に応え最も優れた製品・サービスの提供」などの言葉が紙面に謳っている。にもかかわらず、中期経営計画の事業基盤としては、財務、モノづくり (変革プロセス)、人財の3つだけが掲載されているのは、ちょっと寂しい。それらに加えて、市場・顧客の視点として「マーケッティング基盤」とも呼ぶべきものを加えても良いのではないかと思うのであるが、どうだろうか? そうすれば、株主、社会、顧客、ビジネスパートナー、従業員などのステークホルダーを網羅できる事業基盤になるのではないか。そこに全体最適化経営のヒントがあるように思えてならない。多くの企業がホームページに中期経営計画を公開しているのは、株主向けのIRが主な目的と思われるが、そのため、戦略もよく分かるようになっていることが多いので、経営戦略に興味を持つ筆者にとってみれば、非常に有難い情報原といえる。

 そんな事をぼんやりと考えていると、7月23日付の日本経済新聞に日産化学工業を取り上げた「発掘・強い会社」の記事が目を引いた。渋沢栄一が作った老舗だそうで、同社の2017年3月期の純利益は4期続けて最高の見通しだという。快進撃を続ける秘密は世界有数の「化合物図書館」と呼ばれる同社の生物科学研究所で、所蔵する化合物は約40万点。いまでも年に5000点以上増え続けているそうで、欲しい化合物の名前をパソコンに打ち込むと、実物を自動で取り出せるという。化合物は複数の元素が化学結合によってできた物質だから、化合物のサンプル数が多いほど、新製品に結びつく種がたくさんあることになる。言い換えれば、組織の能力、BSCで言えば学習と成長の視点に該当する要因であろう。それに加えて、経営的に苦しい時期でも、高分子技術に詳しい技術者を残したことも、その要因に貢献していると言えよう。

 ところで、市場・顧客の視点のことである。この新聞記事によると、日産化学工業はどれもニッチだがシェアが高く、利益への貢献度が大きい成果を生んでいるとのことだ。ROEも14%強と高いレベルである。規模は小さいが収益率は高い企業なのだ。同社が標榜したスローガンは「祈りを掲げてテイクオフ」。その市場・顧客の視点として目指すところは、時代の変化に合わせた事業ポートフォリオの組み替え戦略」といったあたりが該当するのではないかと思える。単なる顧客重視の心構えというものではなさそうである。

 もしバランススコアカード(BSC)の「4つの視点」の因果関係が経営の全体最適化をガイドするフレームワークのひとつだとすれば、同社におけるBSCの「4つの視点」の因果関係は、次のように構成されるのではないか。読者の意見を待ちたい。

<財務の視点>
・連続最高益の更新
・規模は小さくても収益性の高い経営構造の実現
<市場・顧客の視点>
・時代の変化に合わせた事業ポートフォリオの組み替え戦略の実現
<プロセス変革の視点>
・ニッチだが高いシェアを得られる新製品輩出のプロセスの成果
<学習と成長の視点>
・化学物実物データベースとしての生物科学研究所の貢献
・高い売上高研究開発費比率と研究開発要員比率

(以上)

 

京都の等持院を訪ねて

  京都の庭園が好きである。特に枯山水の庭園を好んで巡ることが多いのだが、等持院はこれといった枯山水はないにしても、雰囲気の好きなところのひとつである。たまたま最初に訪ねたのが冬の朝だったこともあってか、静かな中に何か凛とした気分が漂っていたのが、好印象を感じたのかもしれない。

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 等持院は、南北朝時代の暦応4年(1341)に足利尊氏が夢窓国師を開山として中興し、尊氏の歿後この寺に葬り、その法名をとって等持院と名づけられたという。しばしば火災にあって荒廃し、現在の建物は江戸・文政年間(1818~30)の建立だそうだ。芙蓉池畔の清蓮亭茶室及び夢窓国師作庭と伝える池泉回遊式庭園とある。
 明治以前の日本人は庭園が好きだった、と司馬遼太郎は『この国のかたち(4)』の「庭」の節で書いているように、日本人は空間についての好みや文化に繊細な感覚を持っていたのであろう、中程度の農家でも、美しい前栽や坪庭を作って楽しんで、造形美術として真剣な対象にしていたようだという。
 庭園は当然ながら建物に付属するが、日本の場合ときに逆の場合もあり、林泉という私的な天地を作って建物のほうは、それを眺めるためのアクセントとしたものも多く見受けられる。いずれにしても、江戸時代の建物に多く出会う京都の寺々である。

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(以上)

 

鳩森八幡神社を訪ねて

  特任の授業を担当している桜美林大学には、都内のJR千駄ヶ谷駅近くに校舎がある。駅から校舎に向かって数分歩いていくと、校舎の手前に鳩森八幡神社が建っており、境内には本殿の他に能楽堂や富士塚、それに将棋堂などもある。由緒ある神社と見受けられ、千駄ヶ谷一帯の総鎮守だそうだ。

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 季節がら、『夏越の大祓』(6月30日(木)6時~祭典斎行)という看板が入口に掲げられていた。大祓式にさきがけて社殿前に茅ノ輪が設置され、知らず知らずのうちに身に付いた穢れを茅ノ輪をくぐることで清め、夏の猛暑を元気に乗り切れるよう祈願するのである。夏越の大祓には、都内のいくつかの神社をはじめとして、いままでに京都、川越、大宮の著名な神社で参列してきた。今年は、千駄ヶ谷に来るかと思いながら、校舎の入口をくぐった。

(以上)

 

無形資産価値とバランススコアカード(BSC)の再考

 およそ5年ほど前の話しである。東京と大阪の会場でISOマネジメントシステムに関係するプロジェクトの調査結果を、バランススコアカード(以下、BSC)のフレームワークにまとめて報告会で発表したことがあった。

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  報告会当日はBSCとは言わずに「経営戦略展開表」と名付けていたが、約100人くらいの聴衆からは好評をいただき、とくにBSCの4つの視点の考え方や因果関係は、ISOマネジメントシステムの領域で活動されている方々にとっては新鮮な興味を持たれたようで、報告者としては気分良く会場を後にしたものだった。
 その後、いくつかの企業の方々からお問い合わせをいただいたが、その多くは財務目標と非財務目標の因果関係と、それを実現する指標の策定についてであった。ごく簡単に言ってしまえば、無形資産価値に該当する非財務活動を如何に見える化し、有形資産価値に相当する財務目標の達成につなげられるのかといったものであった。そのような非財務指標を作れるガイドが社内にあればな、という思いが伝わってくるメッセージが多かったのである。
 その記憶もだんだんと薄れてきた今月(2016年6月)になって、日本経済新聞に「人」や「企業風土」という目に見えない無形性の資産を、どのように捉えて先を見通すのか、どういう新しい評価の尺度を考えていくべきなのか、という課題を投げかけた記事が目にとまった。その記事を要約してみると、
・外的要因に影響されず好業績を続ける企業はどこが違うのか。
・その執筆者らの調査では、それらの多くの企業では経営の目的に「働く人の幸せ」や「社会への貢献」といった精神を軸に据えていること。
・その精神から生まれる3つの無形資産は、いわば「共感資本力」と呼ぶべき源泉で、①自社が大切にする価値観を共有できる経営理念力、②社員のヤル気を高める人財育成力、③社員同志・取引先・地域社会などとの関係性を育む信頼形成力、が挙げられる。
・利益を生み出すには、他社と違う取り組みをしなくてはならないが、かつてはお金を調達して設備を拡充し、効率性を高めることが「違い」を生んだが、モノ・サービスが充足し情報やノウハウが瞬時に飛び交う今の時代は、お金や設備そのものが違いを生むことはない。
・むしろ、お金で手に入れることができない人間の発想力、知恵や工夫、お客様を感動させる心などが必要であり、「違い」を生む源泉は「人」や人の強みを引き出す「組織風土」の中に存在する。
・よって、お金の出し手である銀行や投資家にとっては、目に見えるものを評価する従来の尺度で融資先の新たな資金需要や投資先の発展性を測ることの陳腐化を意味し、新たな評価尺度が求められる。
といった内容であった。(以上は「日本経済新聞2016年6月2日夕刊」による)
 改めて以上のことを考えてみると、そこにはBSCのフレームワークを想起させるものばかりである。しかしながら、人や組織の能力(学習と成長の視点)だけがあっても片手落ちであり、それらがプロセス変革成果や顧客評価向上を押し上げ、ひいては財務や戦略の目標達成やビジョンの実現に近づけるようになることが不可欠である。いわゆる「全体最適化経営」なのである。
 ちなみに、最近のISOマネジメントシステムの審査で出合った某チームリーダーが、BSCの4つの視点を引き出してきて、経営の考え方を突き詰めれば、このBSCの4つの視点に集約されるでしょう、と呟いていたのが嬉しかった。

(以上)

 

6月の公開セミナーのご案内

 2016年4月14日以降発生しました熊本地震をはじめとする九州の一連の地震で被害を受けられた皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。一日も早く復旧されますよう、お祈り申し上げます。さて、6月に予定されています「高橋義郎の公開セミナー」のご案内をお送り致します。

◆JPCA(一般社団法人日本電子回路工業会)ショー「知財・標準化とリスク対応セミナー」

・演題 : 国際競争力を後押しする制度・仕組み・活用事例「中小企業でのISOマネジメント活用のポイント」
・日時 : 2016年6月2日(木)15;15~15:55
・会場 : JPCAショー(東京ビッグサイト)6H-共催/特別協力セミナー会場
・会費 : 無料(但し、JPCAショー入場料は別途支払い必要)
・定員 : 50席程度
・URL : http://www.jpcashow.com/show2016/jp/event/intellectual.html
皆様のご来場を、心よりお待ちしております。

 ◆「ISO31000:リスクマネジメント規格の理解と実践」
・概要 : ISO31000をベースにしたリスクマネジメントを化学工場、医療機器、食品、コンビニ等の想定事例を使って現場目線で解説。リスクマネジメントを理解する70のキーワードを中心に、SWOT分析、ISOマネジメントシステム、バランススコアカード、経営品質等のフレームワークも取り込んだ「未来の指標」であるリスクに対する取り組み手法を想定事例と演習で紹介。
・日時 : 2016年6月6日(月)9:30~17:00
・会場 : グローバルテクノ研修センター(JR高田馬場駅から徒歩5分程度)
・会費 : 有料  http://www.gtc.co.jp/semn/other_iso/rmp.html 
・定員 : 残席あり
皆様のお申込みを、心よりお待ちしております。

(以上)

ユニクロ柳井氏の戦略失敗に見る部分(部署)最適の教訓

 月日が経つのは早いもので、サラリーマンを定年退職してから6年目、そして大学院の特任教員になって4年目の春を迎えた。5年間も自由業をやっていると、毎日の過ごし方も一定のサイクルが出来上がってくるもので、クライアントでの用件や大学院での授業がない日は、都内にある2つの大学へ行くことが習慣になってしまった。

 仮にA大学とB大学としておくと、A大学では豊富な文献や情報を得ることが出来、B大学では資料を作成する作業環境が整っている。よって、午前中はA大学に寄り、まずはここで必要な資料を調べて入手をし、午後はB大学に移動して自分の資料を作成し完成させるといった日常のサイクルである。

 かつて漫画家の藤子不二雄氏は、毎朝、書類で膨らんだ鞄を持って馴染みの喫茶店に立ち寄り、そこで作品の構想を練ったあと、午後は事務所に行って作品を完成させるという行動をとっていたそうだが、彼の業務サイクルに似ていなくもない。そのような日々を過ごしていると、何とはなしに取り組みたいテーマやアイデアが湧いてくるもので、いま関心を持っている全体最適や部分最適というテーマも、そのあたりから生まれてきたように思える。

 全体最適といえば、最近になって『会社が生まれ変わる全体最適マネジメント』という本が日本経済新聞出版社から出された。著者は石原正博氏で、全体最適化コンサルタントという肩書が自信のほどを物語っていて凄い。石原氏によれば、部分最適というのは、会社の方針、人、組織、仕組み、システムなど、あらゆる経営資源が限られた範囲や部分では最適であるが、会社全体として見れば何ら貢献せずに不最適である、もしくは悪い影響を及ぼすこと、と明確に定義している。

 これに関連した話題として、ファーストリテイリングの柳井氏は、4月13日(水)の日本経済新聞3面で「部署最適」という言葉を使っていた。ユニクロの値下げが市場に評価されず戦略ミスを認め、戦略を転換したという記事である。「みんなが自分の部署のことだけを見て『部署最適』を求めて、経営者感覚を持てず大きな変化についていけなかった」と嘆いているのである。

 同じような時に、セブンイレブンを育て上げた鈴木敏文会長の突然の引退報道もあり、彼の会社も全体最適経営を標榜してきた企業のひとつであることを想うと、何か不思議な因縁を感じるのは、筆者ひとりであろうか。まことに会社経営というものは、難しい社会システムなのである。

 ちなみに、前出の石原氏は全体最適化が必要な要因をチェックリストにしている。例えば、
・社員が会社の方針を理解しておらず、作られた経営計画が思惑どおりに実行されていない。
・経営者と現場層との間の意思疎通やコミュニケーションがしっくりいっていない。
・部署間が非協力的で対立があり、社内システム、仕組み、ルールが形骸化し効果が出ない。
・無駄な会議や打ち合わせが多く、研修に参加しても業務の成果が出てこない。
・人事評価制度に納得感がなく、社員もモチベーションが低く指示待ち社員が多い。
などというようなものである。

 読者の会社の全体最適度は、はたして如何であろうか。

                                (以上)

経営のマネジメントとガバナンスとの関係について考える

 長らくマネジメントシステムに関わってきた経験の中で、最近とみに注目されている「ガバナンス」と「マネジメント」との関連が良くわからないことがある。

 この両者の関係をどう考えていくのか迷っていたということなのだが、そんなときに一読したのが筆者が特任の教員をさせていただいている桜美林大学の広報誌であった。

 その一部を要約・引用させていただくと、

・最近、大学の経営ではガバナンスとマネジメントという言葉がよく聞かれる。これは一般的に、どのように理解すればよいのか。

・ガバナンスは組織や制度、権限のことであり、それに対して、目標を具体化して運営の仕掛けをすることをマネジメントと捉えている。

・たとえば大学での場合、ガバナンスを変えれば大学が変わるというのではなく、その組織や権限をうまく使って、大学をどのように運営していくのかというマネジメントが大切な要素になる。

・大学をうまく運営するために、どういう仕掛けをして、いかにして人の心を結集させ、目標に接近できるのかということがマネジメントの要だと思っている。

と、非常に明快にガバナンスとマネジメントを定義しているのである。

 今後の勉強の参考にしたい。

(出所:篠田・畑山(2016)「百家結集(対談)」桜美林大学刊『Obiriner』No.38, March, p.14)

 

 

 

講演/研修/執筆/学会実績更新

◆講演及び研修講師のご依頼は、下記連絡先までお願い致します。

✉ ytakaha@obirin.ac.jp
☎ 090-3964-7431

 

◆主な領域

バランススコアカード、リスクマネジメント、経営品質、ISOマネジメント、
経営企画、経営管理、中期経営計画、経営戦略、品質・環境マネジメントシステム、業務改善、生産管理、CS・ES(顧客・社員満足)、CSR(社会的責任)、役員・管理職研修をはじめ、上記分野の研修講師・企画立案・コンサルテーション・ファシリテーション。

 

◆主な実績

【講演・研修・セミナー】

<2016年>

・「バランススコアカード(BSC)を用いた事業計画作成研修」
 (某大手電機グループ会社管理職研修、同社にて、連続開催)

・「中小企業の良いマネジメントシステム、残念なマネジメントシステム」
 (日本中小企業ベンチャービジネスコンソーシアム講演、明治大学にて)

・「経営戦略担当幹部交流会議・研究協力委員」
 (一般社団法人企業研究会にて)

・「生産管理研修」
 (某米菓製造販売老舗会社管理職研修、同社にて、連続開催)

・「ISOマネジメントシステム・コーディネーターによる経営革新」
 (桜美林大学大学院経営学研究科主催ビジネス戦略講座講演、同大学にて)

・「リスクマネジメントセミナー:ISO31000を現場の言葉で読み解く」
 (グローバルテクノ公開セミナー、同社にて、連続開催)

・他、多数

<2015年>

・「生産管理研修」
 (某米菓製造販売老舗会社管理職研修、同社にて、連続開催)

・「リスクマネジメントセミナー:ISO31000を現場の言葉で読み解く」
 (グローバルテクノ公開セミナー、同社にて、連続開催)

・「バランススコアカード(BSC)を用いた事業計画作成研修」
 (某大手電機グループ会社管理職研修、同社にて、連続開催)

・「エンターテインメント業界におけるリスクマネジメント」
 (某大手音楽会社役員管理職向け講演、同社にて)

・「クレジット業界におけるリスクマネジメント」
 (某大手クレジット会社リスクマネジメント担当者向け研修、同社にて)

・「バランススコアカードによる事業計画立案研修」
 (某大手重工業会社新任役員研修、同社にて、毎年開催)

・「TML5周年感謝セミナー」
 (グローバルテクノ社にて)

・「生産管理上級コース研修」
 (某非常食製造販売会社管理職研修、同社にて、連続開催)

・「リスクマネジメントセミナー:ISO31000を現場の言葉で読み解く」
 (某原子力関連財団法人管理職研修、同財団にて)

・他、多数

 <2014年以前>

・「バランススコアカードによる事業計画作成研修」
 (韓国系某電子会社日本法人役員研修、同社にて)

・「リスクマネジメントセミナー:ISO31000を現場の言葉で読み解く」
 (某医療関連会社管理職研修、同社にて)

・「バランススコアカードによる事業計画立案研修」
 (某大手ゴム加工製品製造販売会社管理職研修、同社にて)

・他、多数

 

【執筆:主な近著】

・「革新的中小企業のグローバル経営」(同文館出版刊、2015年1月、共著)

・「経営品質を高める仕組みや活動に学ぶISOの役割と活用事例」
 (アイソス、2012年10月~2013年3月)  

・「組織としてのリスクマネジメント:ISO31000を紐解く」
 (経営品質アセッサージャーナル、2011年12月) 

・「戦略の空文化を防ぐ非財務指標の選び方」
 (日経ビジネスマネジメント、2009年5巻、日経BP刊)

・「使えるバランススコアカード」(PHPビジネス新書、PHP出版刊、2007年)

・その他、多数

 

【所属学会、等】

・経営品質学会理事

・経営行動研究学会、経営情報学会、品質管理学会、組織学会、ビジネスモデル学会、等の会員
・BSCフォーラム

・財団法人企業研究会「戦略担当者交流会議」研修支援委員

・その他、多数

神奈川に見る県民性のバランススコアカード的考察

 JRの湘南新宿ラインが開通してから、筆者が住んでいる川口から鎌倉が近く感じられるようになった。その理由は、川口駅のひとつ隣駅の赤羽から鎌倉まで直通で行けるようになったからである。実際のところ所要時間の長短は気にならないが、ひと駅先で乗れる(帰りの場合はひと駅先で帰れる)という便利さは、気分から言えば大いに有難いことである。

 学生時代からほぼ季節ごとに鎌倉を訪ね歩いてきたが、やはり鎌倉は春と秋がいい。古都の桜の季節は、まさに由緒ある風かほるという表現がぴったりであり、「きんもくせい」の凛としたあまずっぱい香りが漂う季節は、鎌倉の古寺のみならず、ひっそりとした品の良い住宅地に来ていることを実感させてくれたものである。季節毎に訪れる鎌倉というところは、湘南の海も含めて、いつの時期でもそれなりの風流さと新たな発見を与えてくれる場所なのである。

 鎌倉といえば鶴岡八幡宮があまりにも有名だが、その八幡宮からJR横須賀線の踏切を超えた反対側に筆者の好きな古寺のひとつである寿福寺がある。寿福寺は、とくに敷石に導かれる参道が良い。寺の入り口から中門に至る参道を眺めていると、まさに鎌倉時代への入り口を一服の絵で見ている想いがする。鎌倉市の関連情報をWEBで見てみると、寿福寺は1180年に北条政子が頼朝の父、義朝の旧邸跡に明菴栄西を招いて創建したという。三代将軍実朝もしばしば訪れ、最盛期には十数か所の塔頭を擁する大寺であったそうで、鎌倉五山の第三位という位置づけである。(写真:寿福寺の中門へ)

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 ところで、言うまでもなく鎌倉は神奈川県にある。神奈川県は都会的な県だといわれている。実は国立公園の箱根も丹沢山地を含む丹沢大山国定公園もこの神奈川に属するのだが、横浜はもとより、横須賀、鎌倉は大都市であり、逗子、三浦、葉山町、などは別荘地であるほか高級住宅地でもあり、いずれも東京への通勤が盛んに行われており、東京の文化の影響は極めて大きい。「湘南」と呼ばれる地域にも、藤沢、茅ケ崎、平塚、小田原などの都市が並んでいる。こうしてみると、神奈川は都市的、都会的な県だとわかるのだが、県民性にも非常に大きな特色があるようだ。

 かつて、ある研究所が行った全国県民意識調査では、「お互いのことに深入りしないつきあいがよい」「神でも仏でも何か心のより所になるものがほしい」「国や役所のやることには従っておいたほうがよい」「地元の面倒をよくみる政治家をもりたてたい」という意見に対する賛成の答えはいずれも全国で最低。それから「地元の行事や祭りには積極的に参加したいと思いますか」「隣近所とのつきあいは多いですか」「隣近所の人には信頼できる人が多いですか」「職場や仕事、商売でつきあう人とは仕事以外のことでもつきあうことが多いですか」という問に対しての肯定の答えは最低から3番目であったのだ。

 要するに極めて都会的性格がつよいのであって、個人を尊重することをいつも中心に考え、なにごとにおいても合理性を重視する、これが神奈川県民の考え方の特徴だと言えるだろう。なおこうした特質は特に「浜っ子」と呼ばれる横浜の市民によくあてはまる。よそ者に対する閉鎖的な意識もあまり無いのだ。しかも民主的というか、総花的とでもいうのか、全員に平等なチャンスを与えようとする傾向が強い。また、横浜の人はつきあいが上手で、折衷案を出すのがじつにうまいという。そういった明朗さが神奈川県民の長所といえるのだが、気候にも恵まれ、開放的な土地柄だけに競争心や忍耐力はあまり強くない。よくも悪くも「民主的」なのが、この県の特徴ということになるだろう。

 少し前の話になるが、「中長期的課題と将来ビジョン」という報告書が神奈川県総合計画審議会計画推進評価部会というところから出されていた。今回はこの報告を参考にしながら、同県のビジョナリー経営の方向をBSCにまとめてみた。読者の意見を待ちたい。

<財務の視点>
・神奈川のポテンシャルを生かして地域の活力を生み、ゆとりある生活の実現
<顧客の視点>
・県民の個々人の多様性を生かし安心して暮らせる社会環境と実現
・科学技術の振興による県民や地域の活性化の実現
・神奈川の観光と産業のブランド向上
<プロセスの視点>
・新産業創出と既存産業の高度化推進プロセスの実践
・地域に根ざした産業の推進
<学習と成長の視点>
・県民のネットワーク社会の実現
・雇用の確保と産業人材育成の実践

(参考:「県民性の人間学」新潮OH文庫・祖父江孝男著、「神奈川県庁ホームページ」、「鎌倉市ホームページ」、他)

大阪に見る県民性のバランススコアカード的考察

 この数年間、関西のクライアント企業で研修やコンサルティングをする機会が続いている。それらの企業風土や社員について、とくに大阪と東京の企業や文化を比較する話題がよく出るのだが、司馬良太郎がその講演録で「大阪は軟体動物」と述べているように、改めて大阪の気質というものを考えることが多くなった。

 いつかホームページに掲載したかもしれないが、東京を拠点にしてビジネスに携わる身になってみると、大阪という地は他のどの県よりも身近に感じられるのは、筆者ばかりではないのではなかろうか。やはり大阪は東京と並ぶビジネスセンターであり、しぜん、その交流の密度は高いものになってくる。そのくせ、大阪という府民性について深く思うことは少なく、東京と比べてしまえば、たぶんにアジア的な匂いが立ち上るといった漠然とした印象が嗅覚に残っているにすぎない。ある外国人は初めて大阪の街を歩いたとき、「私は今日、きわめて日本的ではないものを見た」といっていたが、それは「動く'かに'の看板」をさしての言葉だった。いかにもアジア的な環境が大阪にはあるのだ。

 京都府や神戸市・兵庫県とは異なり、大阪は大阪府全体が大阪的である。市と府は区別する必要がないし、大阪人の意識のなかには、市と府の境界が存在していない。したがって、大阪に対しては誰でも共通のイメージを持っているようで、「がめつい、しぶちん、ど根性、活動的、創意工夫がうまい、ユーモアに富む・・・」といった記述が多く並ぶ。そうなった原因は、テレビや映画、小説など、とくに菊田一夫の昭和30年代の芝居「がめつい奴」によってつくり上げられた部分が大きい。

 他県から大阪に移り住んだ主婦の感想をまとめてみると、大阪人には見栄や体裁よりも実を取る合理性があり、また、初対面の相手にもペラペラと話しかける人なつっこさがあるようで、あらゆる点で庶民的だ。余談ではあるが、京都は「はひふへほ」、神戸は「パピプペポ」、そして大阪はといえば「ばびぶべぼ」の印象となるようで、ど根性、がめつい、丼池―どぶいけ―のように濁音ばかりが強調される感じだというのも何となく頷ける思いがする。ちなみに、パチンコというと名古屋が本場のように思われているが、生まれたのは大阪である。しかも、その発想がいかにも大阪的で、スマートボールが流行した時分、台のスペースを小さくできないかと考え、それなら立ててしまおうというので生まれたのがパチンコである。大阪人の発想はこのパチンコとよく似ていて、すでにあるものをもっと効率よくしたり、気楽なものにするところから生まれてくる。

 大阪人はよく、「エエカッコシイ」といういい方をする。気取った態度や考え方を嫌うところがある。そして相当なせっかちである。心理学者の長山泰久が、全国各地の主要都市で住民の歩くスピードを測定しているが、それによると、いちばん速かったのが大阪で、秒速1.60メートル。その次が東京で1.56メートルだった。大阪人のセカセカぶりを証明する現象はほかにもたくさんあるが、それに加えて、なんでも値切って買うのは大阪人の現実だが、名古屋人のケチとはちょっとニュアンスが違う。たとえば、ふだんの生活を切りつめてもお金や財産を残したいと思う人はそんなにいないようだし、使う値打ちのあるときには気前よく使うのが大阪人ともいえるだろう。

 大阪人には反権威主義的な傾向については以前にも触れたが、同じ意味で個人主義的な傾向も非常に強い。たとえば集団のなかで統制の取れた行動がなかなかできないし、頭ごなしに命令されても、表面はともかく内心ではかなり反発する。かつて、軍隊のなかでも大阪人で構成された部隊は非常に弱いといわれたが、それもこういった性格のせいである。計算高いから、負け戦とわかっている場合には無理な戦闘はしない。逃げるときも散り散りバラバラに逃げるのである。こういう大阪人だから、がっちりした組織のなかで歯車となって働くより、個人あるいは小さな組織で働くのを好む。大阪に数多くのベンチャービジネスが育ったのも当然のことだろう。

 大阪人のバイタリティーは、その人見知りしない性格にもあらわれている。NHK放送文化研究所が1978年に行った全国県民意識調査において、「はじめての人に会うのは、気が重いほうですか」の問に対して「はい」という肯定の答えは全国最低であった(最高は青森県)。しかし同じ調査において「人とつきあう時にはお互いのことに深入りしないつきあいがよい」という答えが、78年、96年とも全国で第3位であった。少し意外な感じもするのだが、これが大阪人のつきあいかたの本質なのかもしれない。

 大阪の若い男女は、相手に好意を持つと最初にはっきりと宣言する。「好きやねん」と打ち明けてから交際が始まる。だから、相手の気持ちを推し量ったり、あれこれ駆け引きするようなことは嫌う。ふだんでも自分の気持ちをストレートに伝えるから、ケンカになったり別れたりするのも早い。男性は案外、保守的・封建的なところがある。「おれのいうことがきけないのか」といった気持ちがどこかにある。それに対して女性は、表面的には男を立てる。けれども芯が強いから、いざとなればしっかり男性をリードする気丈夫さを持っている。結婚観は堅実なものがある。女性はやりくり上手だし、男性も勤勉な性格だ。恋愛や結婚相手としては、大阪人は気取りの必要がないし、ざっくばらんな関係できわめて開放的だといえるだろう。

 そのような府民性を考えるとき、自由闊達な風土に根ざした開放的でチャレンジャブルな戦略の方向性が見えてくるのではないだろうか。

<財務の視点>
・堅実な財務資源の運営と管理
・ニューベンチャービジネスなどによる財源の拡大
・アジア経済圏との交易収入拡大

<顧客の視点>
・財政執行に対する社会・住民のしたたかな視点からの参画とコーチング
・ニューベンチャービジネスのメッカとしての大阪イメージの改善
・アジア経済圏からの好感度や評価・満足度の向上

<プロセスの視点>
・リアリズムや実質的な生活姿勢に裏打ちされた経営や生活のプロセス改善
・ニューベンチャービジネスへの優遇策と大阪発の新事業創造の増大
・住民に優しい効率的な経営や生活システムの創造
・せっかちの思考が生み出すサイクルタイムの短縮への挑戦
・個人単位から社会的視点や組織単位へのプロセス拡大と向上への試み

<学習成長の視点>
・個人的な視点の経営から組織的な視点の経営への脱皮
・個人的情報の共有化とネットワーク化による有用化の実現
・府独自の一体感のある価値観共有の醸成と府政や府発展への仕組みづくり
・開放的なコミュニケーション環境の向上と有用なアイデア創造の促進

 諸兄のご意見を待ちたい。

(参考:「県民性の人間学」祖父江孝男著・新潮OH!文庫)

近江商人を輩出した近江八幡を訪ねて(BSC的考察)

 3日間ほど大阪と京都周辺に行く用務があったので、その帰り道に近江八幡に立ち寄ってみた。近江八幡市のホームページによると、同市は滋賀県のほぼ中央にあって琵琶湖の南東に面し、総面積は琵琶湖の約76km2を含めていて、琵琶湖で最大の島である沖島を有している。古くから農業を中心に栄え、中世以降は陸上と湖上の交通の要衝という地の利を得て、多くの城が築かれた。(写真は近江八幡の風景)

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 近江八幡といえば多くの近江商人を輩出してきたことでも有名だ。その源流は織田信長の改革精神により開かれた楽市楽座にあると言われ、豊臣秀次の自由商業都市の思想に引き継がれ、さらに近江商人の基礎を築いた。

 司馬遼太郎の「近江人を創った血の秘密」(『歴史を紀行する』文春文庫)によれば、商人的思考法とは、形而下的思考法というか、右の品物と左の品物とはどちらがどれほど大きいか、とか、どちらがどれほど値が高いか、という具体的思考法の世界ということであり、商人的体質とはそういう形而下的な判断によって自分の身動きを決める割り切った体質と言っている。

 日本の歴史には、歴史上の名士として多くの近江人が登場するし、そういう名士の数の多さでは他県を圧しているが、翻って戦国期以降の近江人の武将の名前を思い出してみると、浅井長政、蒲生氏郷、大谷吉継、長束正家、さらには石田三成がいる。これら思いつくままに書き連ねた人物から共通項を引き出すと、他県の歴史上の名士たちにはない一種の「さわやかさ」と「知的緊張感」という形而上的思考に習熟した共通体質を見出すことができると司馬は言う。

 そして、彼らはいずれも経済観念と計数に長けた経理家的素質を持っていたのである。蒲生氏郷は優れた経済政策家であり、石田三成は優れた経済技術者であったろう。彼は豊臣家の財政を運用するのに近代的な簿記のようなものを用いていたようで、彼が薩摩の島津家降伏の戦後処理の任にあったとき、そういう帳簿の作り方や経理技術を島津義久に伝授したという。三成らが身につけていた経済や商業の実務技術は、やはり彼の出身地である近江の影響は排除できないであろう。

 近江の商人の間には、そういう思想や技術があったはずで、こういう連中を輩出した近江というのは、よほど特質な地帯であり、商業という点では、他の国々と比べものにならないほどの先進性を持っていたに違いない。その背景のひとつに、近江には江戸時代から丁稚学校があったことも関係しているのではないか。むかしの商業学校というべきものがあり、明治後にそれが発展したのが近江商人の訓練所として有名だった県立八幡商業だ。戦前、大阪や東京の近江系の繊維会社には、かならず県立八幡商業の卒業生を採ったというのは、その卒業生ははじめから商人として出来が違うという理由があったようだ。

 今回の旅でも、八幡商業や、森ビルや西川ふとんの後裔を出した家々も見たが、その中で忘れてならないのが、ウィリアム・メレル・ヴォーリズの存在である。彼は滋賀県立商業学校(現・八幡商業)の英語教師として来日し、キリスト教伝道と共に、「建物の風格は人間と同じくその外見よりも内容にある」との信念で、全国で約1600にも及び建築設計に携わった。メンソレータムを日本に輸入したことや、結核療養所を作ったことも特筆できる人物である。ちょうどNHKで放映されている「あさが来た」のヒロインあさの娘(亀子)の夫(恵三)の妹(満喜子)の夫がヴォ―リズである。

 話しが若干それたが、いくつかの傍証をもとに司馬遼太郎が結論としているのは、商業的素質を持つ高麗人の帰化人が江州に多く集まり、本国の制度にならって市を開設したりして諸方と結んで商圏を拡張し、全国の行商行脚に力を伸ばしたという説を推している。近江商人が全国に店を出したときに故郷の近江で丁稚学校(商業学校)を出た人材を呼び寄せたのが華僑の風習と似ているというのも、同じ理由だ。筆者の推察では、それに加えて近江が交通と情報交流の要所であったことも挙げられよう。

 そんな近江商人の卓越さを育んだ要因をBSCの4つの視点で因果関係に並べてみれば、帰化人・華僑の影響/地理的有利性/商人育成システム構築→商人スキル・プロセスによる優れた商人実績発揮→大名・商業資本経営者からの高い評価→近江商人のブランド成立、といった具合になるのではないか。読者の意見を待ちたい。

 (以上)

経営戦略及び経営品質としてのリスクマネジメント(2)

7. ビジネスリスクマネジメントへの展開

この稿では、ひとつのケースを想定して説明を進めていくことにします。

B社という電動バイクを製造販売する会社があったとします。規模も小さく資本力も弱いベンチャー企業ですが、電動バイクの開発にはかなり以前から着手し、数年前に本格的販売に踏み出しました。安全性テストのノウハウも確立し、販売を開始したときには、すでに電動バイク事業の顧客リストも準備されていたほどです。

B社が電動バイクの事業に参入した背景には、エコ・スローライフの浸透や環境意識の高まりを受け、電動バイクは大きく伸張するとの判断があったからです。最初は「ヤマハやホンダに勝てるか」と疑問に思い不安にかられていましたが、調べていくうちに、「これは業界が、ごろっと変わる可能性があるな」と感じたというのです。大企業の参入には時間がかかり、一方で自動車と比べてバイクやスクーターへの要求レベルは小さい。そのため、ベンチャー企業にも十分勝機があり、それに加えて、海外にはもっと大きな市場があると考えたからでした。

そうは言っても小さなベンチャー企業ですので、いろいろな不安要素も抱えているはずです。企業ブランド力が弱く、信用力が不足しているし、新規事業のための資金力も不足していました。人材不足による脆弱な企業体質も懸念材料で、開発技術は自社内にあり低価格が実現できるとはいえ、商品開発にも不安があります。そこで同業他社と資本提携し、人材確保(同社には大手自動車会社出身の優秀なエンジニアがいる)も考えていきました。また、中国製の部品を日本仕様にカスタマイズして現地で組立生産しているのですが、日本から品質管理のスペシャリストを派遣して指導しているのが現状でした。  脅威となる外部要因もあります。大手競合他社が電動バイクの販売価格を引き下げてくれば、ひとたまりもなく、また、法改正による電動バイクに対する販売規制の動きもあり、電動自転車の事故発生などによる消費者の購買意欲の低下も懸念材料のひとつでしょう。

 懸念されることはたくさんあっても、心配しているだけでは物事は解決されるものではありません。そこでB社の経営陣は、まずB社の直面しているビジネスのリスクを明らかにし、それらの軽減やコントロールを考えながら、経営の方向や目標を達成する取り組みをしようと思いたちました。

まず、はじめに着手したことは、ビジネスエクセレンスモデルを用いたチェックリストに照らし合わせて、自分たちの会社がどうなっているのかを把握することでした。この作業は結構手間がかかりましたが、自分たちの仕事の計画や実行に解決すべき問題や課題が多くあることが分かってきました。そして、それらの項目は分類表を用いて「戦略的なもの」はSWOT分析に、「その他のもの」は個別のリスクとして、評価表を用いて評価、対応策を明確にし、改善の実施に回されて社内で適切に処置していくことにしました。

そして、次は、いよいよ戦略的なビジネスリスクに触れていくステップです。

事業戦略的なリスクを考慮しながら、「ビジネス環境分析」を行うことにしました。ビジネス環境分析が終わったら、今度はSWOT分析で内部の強みと弱み、外部の機会と脅威を洗い出し、好ましい結果に影響を及ぼすリスク、好ましくない結果に影響を及ぼすリスクに分類することにしたのです。

さらに、戦略の方向を明確にするために、クロスSWOTに落とし込んで分析・策定を行う手順としたことは、重要なステップでした。

ところで、経営品質賞やマネジメントシステムの審査員の中にもクロスSWOTについて馴染みの薄い方々が散見されましたので、ここで、クロスSWOT分析について若干の説明をしておきます。ご存じのように、広く一般に使われているSWOT分析(以下、シンプルSWOT と呼びます)は、「強み」「弱み」「機会」「脅威」の4つの窓で構成される現状把握のコミュニケーションツールですが、クロスSWOTでは、それらのシンプルSWOTで抽出された4つの窓を外側に転記していきます。

転記された記述、すなわち、シンプルSWOTで分析された現状の事実や想定をじっと睨みながら「強みを生かして機会を物にする」にはどうしたらよいのか、「機会に乗じて脅威を切り抜ける」手段はないのか、「機会や強みで弱みを克服しカバーする」ことはできないのか、そして、どうすれば「強みを生かして脅威を潰し最悪の状態を作らない」取り組みを行うことができるのか、といったような検討を進めていくことができます。そこで創られる4つの検討領域は内側の4つの窓に書かれ、それぞれが「積極攻勢」「競争差別化」「弱点克服」「沈黙防衛」と呼ばれている戦略の方向を示すものです。

リスクの観点からシンプルSWOTを再度見ていきますと、強み(内部)と機会(外部)が「良い結果に影響を及ぼすリスク」、弱み(内部)と脅威(外部)が「悪い結果に影響を及ぼすリスク」と考えることもできるでしょう。

クロスSWOT分析で戦略の方向を決めたらば、その戦略の方向を実現する具体的な重点目標(戦略目標)を決めていく必要があります。その作業をバランススコアカード(戦略マップとスコアカード)を用いて行っていったのです。その結果として、達成の確率の高いバランススコアカードが「目標達成への現時点のベストなシナリオ」となれば、バランススコアカードによる事業目標の策定は、ビジネスリスクを最小化する目標達成のシナリオづくりとも考えられるということになります。

リスクマネジメントは、既存のビジネスマネジメントシステムや経営管理の手法に組み入れて運用管理できる親和性が高いものであるべきで、経営の戦略目標達成への施策、たとえば中期経営計画やバランススコアカードなどでの活用は注目すべきビジネスリスクマネジメントにつながるものと言えましょう。

 

8. まとめ

リスクマネジメントというものを、リスクマネジメント規格(ISO31000)や事業継続計画(BCP)、それにクロスSWOTやバランススコアカードを用いてビジネスリスクマネジメントを織り込む一例として紹介をしてきました。

組織の中では、既にリスクマネジメントを部分的にでも実施している場合が少なくありません。それらの活動や取り組みについてISO31000の規格を参考にしながら現状を見直してみると、漏れがなく必要な要件を網羅できるリスクマネジメントにすることができると考えます。言いかえれば、ISO31000の規格をガイドにしてレビューをしてみたらどうかという提案です。

そのような意味で、リスクマネジメントの有効な運用管理をするためのPDCAの仕組み、構造、枠組み(フレームワーク)、プロセス、等を示すことは、有意義なことであり、それらを自分たちが重要と考えるリスクに使ってみることが、リスクの運用管理を具体化することになるはずです。

ISO31000では、11の原則、それを展開する5つの大まかな流れ(枠組み、フレームワーク)、そして、リスクマネジメントを実践する5つのプロセス、の関係が明らかにされています。それらの規格事項が、ビジネスのリスクマネジメントとして実行手順の助 けとなり、事業の目的や目標の達成を支援する成功事例を増やすものにしていくことが、今後の重要な課題となると考えています。

繰り返しになりますが、今回ご紹介しましたリスクマネジメント規格は、認証を目的として作成されたものではないこと、リスクマネジメントは事業計画の達成を支援する仕組みと位置付けていること、あらゆる経営活動や範囲と形態のリスクを運用管理するための原則及び指針であること、等の目的を標榜していることを冒頭に書きました。本稿が経営品質に関わる方々にとって「事業におけるリスクマネジメント」というテーマについて考える一端となれば、筆者にとって望外の喜びです。

(以上)

経営戦略及び経営品質としてのリスクマネジメント(1)

1. はじめに

リスクマネジメントについての情報を整理しはじめてから、およそ5年ほど経ちました。外資系企業で30年近くを過ごし、その間に経営企画・経営品質のプログラムや事業計画立案と達成支援の仕事に関与し、それらの仕事を通じて、いつも頭をかすめたテーマは、事業における「リスク」とはどのようなもので、そのリスクにどう対処していけば最も良いのだろうか、ということでした。

実際には、一旦事業計画を作成すれば、各事業の責任者たちは目標達成に向けて、特に財務目標の結果を出そうと懸命の取り組みを始めるのですが、戦略や戦術に沿った事業活動が進められていくとはいえ、リスクそのものを体系的に捉えてリスクをコントロールしながら成果をあげていくといったような活動は、あまり見られなかったように思います。

そのような中で、『リスクマネジメント-原則及び指針』(以下、リスクマネジメント規格と呼ぶことにします)が、JIS Q 31000:2010(ISO 31000)として財団法人日本規格協会から発行されました。

これは、いわゆる日本工業規格(JIS)ですから、また新たな認証規格が出てきたのかとしか受け止めなかったのですが、認証を目的として作成されたものではないこと、リスクマネジメントは事業計画の達成を支援する仕組みと位置付けていること、あらゆる経営活動や範囲と形態のリスクを運用管理するための原則及び指針であること、等の目的を標榜していることを知り、経営品質に関与する私たちにとっても知っておくべきコンセプトの一つであると考え、本稿を通じて前述のリスクマネジメント規格の概要を紹介することにいたします。

2. 捉えてみれば、皆リスク

私たちの所属している企業や非営利団体(以下、これを総称して「組織」と呼びます)のみならず、私たち自身の毎日の生活においても、リスクは常に存在し影響を与え続けています。事業の目標を設定し達成する活動では、市場の動きや顧客の意向は想定から大きく乖離することも多く、その情報把握と対応に追われる毎日であることは言を待ちません。

ほとんど全ての業界や組織では中期事業計画を作成し、自分たちが決めた目的や目標の達成に向けて日々の取り組みが行われているのですが、組織の外部での動きのみならず、ときによっては予期せぬ内部の事情で組織の目的や目標の達成が左右されることが少なくありません。むしろ、想定外の事情や障害などが起こる「不確かさ」のほうが多いのが実情でしょう。じつは、この不確かさこそが、私たちの会社や組織が達成したい事業目的や目標に影響を与える「リスク」と呼ぶものではないでしょうか。

組織が毎日取り組んでいる活動には、常にリスクがあります。私たちは目的や目標を達成するために、どんなリスクがあるのか、それらのリスクがどのように影響を与えるものなのか、そして、どのように対応すべきなのか、を議論しながら事業活動を進めているのですが、その運用管理は、ややもすると場当たり的(部分最適と言っても良いかと思います)な印象があります。抽出し分析されたリスクの一つひとつが個別に対応され、場合によってはその後も更なるリスク対応が新たに必要になってしまう事態が起こることもあるようです。

そのようなことにならないように、私たちはリスクそのものや、リスクを低減する仕組みをつくり、組織の経営活動に織り込んでいく必要があります。リスクを把握し、分析し、対応策を立案し、実行し、モニタリングとレビューをしていくPDCAを回せるプロセスを持つことが、組織の事業を成功に導く重要な成功要因になるはずです。リスクマネジメント規格の序文にはリスクの運用管理の大枠が説明されていますので、筆者のコメントを右欄に添えた概要を図表1にまとめておきます。


3. リスクは組織の目的を明確にしないと定まらない

リスクマネジメント規格によれば、リスクとは「不確かさが組織の目的に与える影響」と述べています。

日経産業新聞(2011年6月17日)にもリスクについての記事が掲載されていましたが、リスクを考える場合には、期待に対して好ましい方向、または好ましくない方向に乖離(かいり)することの両方を想定するべきであり、好ましい影響を最大化することと、好ましくない影響を最小化することを同時に考える事が必要と訴えていました。

また、アイソス(2011年1月号)には、目的の達成に対して何らかの原因(原因の不確かさ)が、何らかの条件下(起こりやすさや顕在化シナリオの不確かさ)によって起こる何らかの影響(影響の不確かさ)の可能性、などと説明しています。いずれにしましても、期待とか目的とかがはっきりしていることがリスクを考える場合には不可欠であることが分かります。目的を明確に設定しないと、リスクは定まらないわけです。

たとえば、投資により30億円の利益を上げる目標を持っていた場合、20億円の利益しか出せない予測が出れば、10億円の好ましくない影響をもたらすリスクがあると判断されます。

少し余談になりますが、リスクマネジメント規格には「審議中問題となった事項(翻訳における考慮事項)」が紹介されています。その中で、”objective”の訳として、目的と目標の二つを候補として検討を行ったことが書かれています。結果としては、”goal”を到達目標と訳しているケースがあることを考慮しながら、”objective”を目標と訳すと混乱するおそれがあることから、同規格では ”objective”は”goal”の上位概念として使用されていると解釈し、「目的」と訳したそうです。ISO14001(環境マネジメントシステム)でも環境目的・目標といったように、目的と目標を併用している記述になっていることもあり、この議論には多少の興味を覚えました。


4. リスクマネジメント規格と事業計画との関係

冒頭に書きましたように、リスクマネジメント規格は、組織の目的を事業計画の達成と置けば、リスクマネジメントは、事業計画の達成を支援する仕組みと位置付けることができる、としています。

事業計画を達成する活動において、その達成に影響を与える可能性をリスクと特定し、好ましい影響を促進し、好ましくない影響を低減させ、あるいは回避させるなどの取り組みをすることにより、事業計画達成への確率を高めることができるはずです。そのためには、内外の状況を検討することによって、目的や目標を達成する既存の仕組みに入れ込んでいくことが必要となるでしょう。

事業計画のみならず、その他の既存のプロセスやシステムにも活用できるはずで、たとえば、ISO9001(品質マネジメントシステム)をはじめとするマネジメントシステム、危機管理(BCP:Business Continuity Plan)、安全分野、内部統制、等への活用も充分可能性がありますし、現にISO14001(環境マネジメントシステム)における環境側面の影響評価と特定には、リスクマネジメントの手法そのものが広く利用されているという事実が多く見られています。

そのような活用範囲の中で、本稿では事業計画達成を支援するリスクマネジメントに焦点を絞っていくことにします。


5. リスクの運用管理の流れとメリットとは

多くの経営管理や規格の解説には、それらの運用管理のための原則やフレームワーク(枠組み)が明示されていますが、ISO31000のリスクマネジメント規格でも、原則と枠組み・プロセスが示されています。

経営品質やマネジメントシステムを学習され実践された方々にとっては、それほどかけ離れた概念ではないと考え、ここでは細かな説明は省きますが、その次に注目したいのは、リスクの運用管理が、それらのフレームワークやプロセスに沿って行われると、私たちの組織は多くの効果を享受することができるのではないかという点です。

リスクマネジメント規格にはメリットも紹介されていますが、私たちの組織が実際の経営や事業活動で行っている取り組みや手法が該当するものが多くあります。たとえば、BCP(事業継続計画)も該当しますし、内外の状況を検討することによって、目的や目標を達成する仕組みに入れ込んでいく手法として、(クロス)SWOT分析や、事業目的や目標を達成する現時点でのベストなシナリオづくりにつながるBSC(バランススコアカード)なども該当するもののひとつとして挙げています。

それから、もうひとつ特筆しておきたい点は、このリスクマネジメント規格はステークホルダーのニーズを満たすことを意図している、いわば、ステークホルダー重視経営の取り組みをベースにしていることです。その流れは、PDCAを回す「マネジメント」のサイクルで構成されていることがお分かりになるかと思います。

 

6. 事業継続計画(BCP)への展開

リスクマネジメントの規格の内容について、一つひとつ紹介をしていくには紙面が足りませんので、その任は日本規格協会で発行されている規格書に譲ることにし、本稿では事業継続計画(BCP)と、前述しましたビジネスリスクマネジメントの2つのケースに絞って稿を進めていくことにします。

まずは事業継続計画ですが、リスクマネジメント規格は組織の目的達成に影響を及ぼすリスクを明らかにし、それらに対して対応策をとることを求めており、目的達成に影響を及ぼすリスクの中には緊急事態も含まれるとしていますので、緊急事態や危機管理のマネジメントを、より一般的なリスクマネジメントとしての観点から作成できるようにガイドできると考えています。

以下に事業継続計画(BCP)についての解説をまとめておきます。

  • 事業の継続を脅かすようなリスクが顕在化したとき、ダメージの早期回復が不可能な状況に陥ることで事業活動が停滞し、ひとたびステークホルダーからの信頼を喪失してしまえば、その後の企業を維持していくことは極めて困難。
  • そこで、リスクが顕在化した後の事態を想定し、あらかじめ定めた事業機能水準を維持するために事前に行うリスクマネジメント活動が「事業継続マネジメント」(Business Continuity Management:以下BCM)。
  • BCMでは、事業継続計画(BCP)策定のため、経営レベルで事業リスクを適性に評価し、危機が発生した緊急時にも目標とする事業機能の継続水準を設定することで、必要な対策や投資を合理的に決定し推進。
  • また、BCPは具体的な行動基準を整備しておくといった一連の取り組みを指して、さらに、策定されたBCPの実効性を検証し改善していくため、検証訓練などを通したPDCAサイクルによって継続的に行われる組織活動とも言える。
  • 内閣府のガイドラインによると、BCPとは企業が災害や事故で被害を受け、通常の事業活動が中断した場合に、可能な限り妥当な時間枠とコストの中で、事業活動上、最も重要な機能を再開できるように、事前に計画・準備したものと定義。
  • 災害や事故で被害を受けても、取引先等の利害関係者から、重要業務が中断しないこと、中断しても可能な限り短い期間で再開することが望まれている。
  • 事業継続は、企業自らにとっても、重要な業務の中断に伴う顧客の他社への流出、マーケットシェアの低下、企業評価の低下、等から企業を守る経営レベルの戦略的課題と位置付けられているもの。
  • 上記のようなリスクマネジメントの観点から、すでに構築されている会社や組織の場合では、既存のBCP(緊急時対策プログラム、等との名称で作成されているケースが多い)を再検証し、リスクの再チェックと評価、BCP対応方針の再確認、対策内容の再検討(例としてマニュアルやリカバリープラン)、等の手順を通じて、現実的で納得感のある効果的なBCM/BCPプログラムの構築と改善が重要。
  • 事業継続計画(BCP)を作成する場合の主な内容としては、基本方針、想定リスク、重要業務と目標復旧日数、被害想定と復旧想定見込み、災害発生時の初動対応手順、災害発生時の実施項目手順、平時における準備項目、教育・訓練、点検、是正処置、経営者による見直し、などが考えられる。これに加えて、部門別ビジネスインパクト分析、重要書類・データ・情報リストと保護・バックアップ方法、従業員・家族の安否・被災状況確認、連絡する顧客・協力会社・委託先・供給者リストと方法、業務復旧手順と準備項目の確認、防災グッズ・緊急時用備蓄品の準備・管理確認、事前対策の整備資金計画、その他の付帯情報・手順、なども明確にしておく必要がある。

(続く)