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高橋義郎のブログ

経営品質、バランススコアカード、リスクマネジメント、ISO経営、江戸東京、などについてのコミュニティ型ブログです。

大阪に見る県民性のバランススコアカード的考察

 この数年間、関西のクライアント企業で研修やコンサルティングをする機会が続いている。それらの企業風土や社員について、とくに大阪と東京の企業や文化を比較する話題がよく出るのだが、司馬良太郎がその講演録で「大阪は軟体動物」と述べているように、改めて大阪の気質というものを考えることが多くなった。

 いつかホームページに掲載したかもしれないが、東京を拠点にしてビジネスに携わる身になってみると、大阪という地は他のどの県よりも身近に感じられるのは、筆者ばかりではないのではなかろうか。やはり大阪は東京と並ぶビジネスセンターであり、しぜん、その交流の密度は高いものになってくる。そのくせ、大阪という府民性について深く思うことは少なく、東京と比べてしまえば、たぶんにアジア的な匂いが立ち上るといった漠然とした印象が嗅覚に残っているにすぎない。ある外国人は初めて大阪の街を歩いたとき、「私は今日、きわめて日本的ではないものを見た」といっていたが、それは「動く'かに'の看板」をさしての言葉だった。いかにもアジア的な環境が大阪にはあるのだ。

 京都府や神戸市・兵庫県とは異なり、大阪は大阪府全体が大阪的である。市と府は区別する必要がないし、大阪人の意識のなかには、市と府の境界が存在していない。したがって、大阪に対しては誰でも共通のイメージを持っているようで、「がめつい、しぶちん、ど根性、活動的、創意工夫がうまい、ユーモアに富む・・・」といった記述が多く並ぶ。そうなった原因は、テレビや映画、小説など、とくに菊田一夫の昭和30年代の芝居「がめつい奴」によってつくり上げられた部分が大きい。

 他県から大阪に移り住んだ主婦の感想をまとめてみると、大阪人には見栄や体裁よりも実を取る合理性があり、また、初対面の相手にもペラペラと話しかける人なつっこさがあるようで、あらゆる点で庶民的だ。余談ではあるが、京都は「はひふへほ」、神戸は「パピプペポ」、そして大阪はといえば「ばびぶべぼ」の印象となるようで、ど根性、がめつい、丼池―どぶいけ―のように濁音ばかりが強調される感じだというのも何となく頷ける思いがする。ちなみに、パチンコというと名古屋が本場のように思われているが、生まれたのは大阪である。しかも、その発想がいかにも大阪的で、スマートボールが流行した時分、台のスペースを小さくできないかと考え、それなら立ててしまおうというので生まれたのがパチンコである。大阪人の発想はこのパチンコとよく似ていて、すでにあるものをもっと効率よくしたり、気楽なものにするところから生まれてくる。

 大阪人はよく、「エエカッコシイ」といういい方をする。気取った態度や考え方を嫌うところがある。そして相当なせっかちである。心理学者の長山泰久が、全国各地の主要都市で住民の歩くスピードを測定しているが、それによると、いちばん速かったのが大阪で、秒速1.60メートル。その次が東京で1.56メートルだった。大阪人のセカセカぶりを証明する現象はほかにもたくさんあるが、それに加えて、なんでも値切って買うのは大阪人の現実だが、名古屋人のケチとはちょっとニュアンスが違う。たとえば、ふだんの生活を切りつめてもお金や財産を残したいと思う人はそんなにいないようだし、使う値打ちのあるときには気前よく使うのが大阪人ともいえるだろう。

 大阪人には反権威主義的な傾向については以前にも触れたが、同じ意味で個人主義的な傾向も非常に強い。たとえば集団のなかで統制の取れた行動がなかなかできないし、頭ごなしに命令されても、表面はともかく内心ではかなり反発する。かつて、軍隊のなかでも大阪人で構成された部隊は非常に弱いといわれたが、それもこういった性格のせいである。計算高いから、負け戦とわかっている場合には無理な戦闘はしない。逃げるときも散り散りバラバラに逃げるのである。こういう大阪人だから、がっちりした組織のなかで歯車となって働くより、個人あるいは小さな組織で働くのを好む。大阪に数多くのベンチャービジネスが育ったのも当然のことだろう。

 大阪人のバイタリティーは、その人見知りしない性格にもあらわれている。NHK放送文化研究所が1978年に行った全国県民意識調査において、「はじめての人に会うのは、気が重いほうですか」の問に対して「はい」という肯定の答えは全国最低であった(最高は青森県)。しかし同じ調査において「人とつきあう時にはお互いのことに深入りしないつきあいがよい」という答えが、78年、96年とも全国で第3位であった。少し意外な感じもするのだが、これが大阪人のつきあいかたの本質なのかもしれない。

 大阪の若い男女は、相手に好意を持つと最初にはっきりと宣言する。「好きやねん」と打ち明けてから交際が始まる。だから、相手の気持ちを推し量ったり、あれこれ駆け引きするようなことは嫌う。ふだんでも自分の気持ちをストレートに伝えるから、ケンカになったり別れたりするのも早い。男性は案外、保守的・封建的なところがある。「おれのいうことがきけないのか」といった気持ちがどこかにある。それに対して女性は、表面的には男を立てる。けれども芯が強いから、いざとなればしっかり男性をリードする気丈夫さを持っている。結婚観は堅実なものがある。女性はやりくり上手だし、男性も勤勉な性格だ。恋愛や結婚相手としては、大阪人は気取りの必要がないし、ざっくばらんな関係できわめて開放的だといえるだろう。

 そのような府民性を考えるとき、自由闊達な風土に根ざした開放的でチャレンジャブルな戦略の方向性が見えてくるのではないだろうか。

<財務の視点>
・堅実な財務資源の運営と管理
・ニューベンチャービジネスなどによる財源の拡大
・アジア経済圏との交易収入拡大

<顧客の視点>
・財政執行に対する社会・住民のしたたかな視点からの参画とコーチング
・ニューベンチャービジネスのメッカとしての大阪イメージの改善
・アジア経済圏からの好感度や評価・満足度の向上

<プロセスの視点>
・リアリズムや実質的な生活姿勢に裏打ちされた経営や生活のプロセス改善
・ニューベンチャービジネスへの優遇策と大阪発の新事業創造の増大
・住民に優しい効率的な経営や生活システムの創造
・せっかちの思考が生み出すサイクルタイムの短縮への挑戦
・個人単位から社会的視点や組織単位へのプロセス拡大と向上への試み

<学習成長の視点>
・個人的な視点の経営から組織的な視点の経営への脱皮
・個人的情報の共有化とネットワーク化による有用化の実現
・府独自の一体感のある価値観共有の醸成と府政や府発展への仕組みづくり
・開放的なコミュニケーション環境の向上と有用なアイデア創造の促進

 諸兄のご意見を待ちたい。

(参考:「県民性の人間学」祖父江孝男著・新潮OH!文庫)