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高橋義郎のブログ

経営品質、バランススコアカード、リスクマネジメント、ISO経営、江戸東京、などについてのコミュニティ型ブログです。

ユニクロ柳井氏の戦略失敗に見る部分(部署)最適の教訓

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 月日が経つのは早いもので、サラリーマンを定年退職してから6年目、そして大学院の特任教員になって4年目の春を迎えた。5年間も自由業をやっていると、毎日の過ごし方も一定のサイクルが出来上がってくるもので、クライアントでの用件や大学院での授業がない日は、都内にある2つの大学へ行くことが習慣になってしまった。

 仮にA大学とB大学としておくと、A大学では豊富な文献や情報を得ることが出来、B大学では資料を作成する作業環境が整っている。よって、午前中はA大学に寄り、まずはここで必要な資料を調べて入手をし、午後はB大学に移動して自分の資料を作成し完成させるといった日常のサイクルである。

 かつて漫画家の藤子不二雄氏は、毎朝、書類で膨らんだ鞄を持って馴染みの喫茶店に立ち寄り、そこで作品の構想を練ったあと、午後は事務所に行って作品を完成させるという行動をとっていたそうだが、彼の業務サイクルに似ていなくもない。そのような日々を過ごしていると、何とはなしに取り組みたいテーマやアイデアが湧いてくるもので、いま関心を持っている全体最適や部分最適というテーマも、そのあたりから生まれてきたように思える。

 全体最適といえば、最近になって『会社が生まれ変わる全体最適マネジメント』という本が日本経済新聞出版社から出された。著者は石原正博氏で、全体最適化コンサルタントという肩書が自信のほどを物語っていて凄い。石原氏によれば、部分最適というのは、会社の方針、人、組織、仕組み、システムなど、あらゆる経営資源が限られた範囲や部分では最適であるが、会社全体として見れば何ら貢献せずに不最適である、もしくは悪い影響を及ぼすこと、と明確に定義している。

 これに関連した話題として、ファーストリテイリングの柳井氏は、4月13日(水)の日本経済新聞3面で「部署最適」という言葉を使っていた。ユニクロの値下げが市場に評価されず戦略ミスを認め、戦略を転換したという記事である。「みんなが自分の部署のことだけを見て『部署最適』を求めて、経営者感覚を持てず大きな変化についていけなかった」と嘆いているのである。

 同じような時に、セブンイレブンを育て上げた鈴木敏文会長の突然の引退報道もあり、彼の会社も全体最適経営を標榜してきた企業のひとつであることを想うと、何か不思議な因縁を感じるのは、筆者ひとりであろうか。まことに会社経営というものは、難しい社会システムなのである。

 ちなみに、前出の石原氏は全体最適化が必要な要因をチェックリストにしている。例えば、
・社員が会社の方針を理解しておらず、作られた経営計画が思惑どおりに実行されていない。
・経営者と現場層との間の意思疎通やコミュニケーションがしっくりいっていない。
・部署間が非協力的で対立があり、社内システム、仕組み、ルールが形骸化し効果が出ない。
・無駄な会議や打ち合わせが多く、研修に参加しても業務の成果が出てこない。
・人事評価制度に納得感がなく、社員もモチベーションが低く指示待ち社員が多い。
などというようなものである。

 読者の会社の全体最適度は、はたして如何であろうか。

                                (以上)