高橋義郎のブログ

経営品質、バランススコアカード、リスクマネジメント、ISO経営、江戸東京、などについてのコミュニティ型ブログです。

エレコムの高速開発経営に見るBSC的考察

 デジタル周辺機器を主力ビジネスとするエレコムが、関連する30製品のうち13分野でトップシェアを握った。勝率4割を可能にするのは、年4千もの新製品を世に出す高速開発と、メール1本で開発に着手し、不振なら直ぐに生産中止し、製品群の3分の1を毎年捨てる新陳代謝により、目まぐるしく変化する市場を生き抜く。同社の経営をBSCの4つの視点の因果関係でまとめてみると、以下のようになるだろうか。読者の意見を待ちたい。

<財務の視点>
①ビジネスの成長:2020年に1千億円の達成、②売上高営業利益率:10%以上達成
<顧客の視点>
①かゆい所に手が届くという顧客の評価向上、②まずは世に出し、市場で売れなければすぐにやめる経営、③ヘルスケア分野などでのB2Bビジネスの拡大、⓸海外ビジネスの拡大
<変革プロセスの視点>
⓸ファブレス(製造委託)による迅速で低コストな製品製造の実践
③メールによる開発企画書の迅速な役員決済システム「メール上申制度」の導入
②開発部隊による1日平均10件以上/人の新製品開発の実践
①営業から得た顧客の要望に基づいた新製品開発と迅速な店舗への提案営業
<経営や・組織・個人能力の視点>
⓸開発担当者の新製品開発企画書作成スキルの向上(商品化の情報収集と精査)
③開発制度を高めるデータ収集システムの運用(主要量販店20社の販売データによる顧客ニーズの把握)
②営業力の強化(量販店員から顧客の要望情報を吸い上げて開発部門へ伝達)
①経営方針の理解浸透(やめることを恐れない高速な新陳代謝で時代への即応力重視)


(出所:日本経済新聞、2019年8月9日(金)、12面)