高橋義郎のブログ

経営品質、バランススコアカード、リスクマネジメント、ISO経営、江戸東京、などについてのコミュニティ型ブログです。

江戸東京雑感

岩波茂雄と教員退職理由

たしか中学生のときだったと記憶していますが、ある先生が「岩波書店(あるいは岩波茂雄だったか)を知っているか」と私たちのクラスで問いかけたことがありました。彼がどのような話をしたのかは覚えていませんが、その後、岩波新書や岩波文庫を読むたびに…

中世の環濠商業都市「今井」と時勢を考える

社会人となって就職した会社の工場が新潟県柏崎市にあります。22歳から数年間、その工場に勤務し、その後、東京新橋にあった本社へ転勤しました。その柏崎市の名前が「街道をゆく7」に出てきます。奈良の橿原市にある今井という町について書かれている稿で…

後継者に恵まれた最澄と鎌倉仏教の成立

信州というところは、京都や鎌倉とは違った意味で好感を持てる土地柄です。京の雅や鎌倉の古都の趣ではない何かが魅力を感じさせてくれるのでしょう。日本人が懐かしいと感じる情景や風景が、あちこちに存在するからなのかもしれません。長野で冬季オリンピ…

早すぎた平清盛の日本最初の重商政治

日本で最も古い船泊(ふなどまり)が兵庫県の室津であるといいます。「街道をゆく9」でも、龍野から室津へ出るコースをとっていました。遣唐使は大阪湾を出て瀬戸内海をゆく中で、室津に寄港したらしい。その後、日本史に登場する平清盛は、室津入港の翌年…

安芸門徒とネットワーク戦略

「街道をゆく9」に兵庫県のたつの市(旧:龍野市)が出てきます。かなり以前、出張の折に龍野の街並みや城下の公園を歩いた記憶があり、懐かしくなって読み返しました。「赤とんぼ」の童謡で知られる三木露風は、播州龍野の人です。また、同書では播州門徒…

17世紀のオランダに見る組織運営モデル

オランダに本社を置くフィリップスというグローバル企業の日本支社に、30年近く勤務していました。筆者にとっては、3つの理由で面白い会社でした。一つ目の理由は、様々な国の社員と一緒に仕事ができたことです。おかげで英語も使えるようになり、各国のビ…

日本人の均一化したがる意識

よく聞かれる小話に、沈没する船から各国の人たちが救命ボートに乗り移る話があります。5人定員の救ボートに6人が乗り込むとすれば、誰か一人が海に飛び込まねばなりません。そのとき、納得して海に飛び込むよう仕向けるには、どの国の人に、どのように言え…

7つ目の Decade を通り過ぎて

Decadeという英語があります。改めて調べてみると、10年間とか、10を単位とする1群などと解説されています。私事で恐縮ですが、数日前に7つのDecadeを経た誕生日を迎え、8つ目のDecadeに足を踏み入れました。つまり、70歳になったのです。60歳までは会社勤務…

円空館(岐阜県関市)を訪ねる

岐阜の関市は刃物の生産地として知られている。筆者にとっては、カミソリの刃を製造する産地として記憶されている街だが、その地に用件があって数日滞在し、近くに円空仏を展示している「円空館」があったので、仕事の帰りに立ち寄ってみた。 「円空」という…

岐阜の青空を見ながら県民性を考えてみる

およそ30年ほど前に、岐阜県の郡上八幡を訪ねたことがある。美濃での業務出張を終えた翌日の土曜日のことで、朝から雪が降りしきる中をレールバスで郡上八幡駅に着いた。斎藤美術館に行ってみようと歩き始めたのだが、開館にはまだ早く、近くの喫茶店で時間…

司馬遼太郎『峠(上・中)』を再読して

『峠』を読んだのは、20歳代中ごろのことである。勤務先の社内研修を主宰していた営業部次長が冒頭に「知識という石を、心の炎で熔かせ」と黒板に書き、越後長岡藩の河井継之助のことばであることを紹介した。研修に臨む社員への心構えとして、引用したのだ…

岩槻の料亭「ほてい家」に見る江戸の粋:會田優子さんの和紙人形展

夕方から埼玉スタジアム2002で浦和レッズ戦があるので、その前に岩槻市内で昼食をと思い、料亭「ほてい家」に立ち寄った。 折しも、會田優子さんの製作した和紙人形展が開催されていて、その作品の素晴らしさに心を奪われてしまった。 顔から着ている和服、…

『街道をゆく 21 芸備の道』を読んで

まだ広島空港が市内に近い場所にあったころ、仕事で広島県の三次(みよし)市へ出張する機会が何度かあった。三次へは広島駅から芸備線で行くか、あるいは車で移動することもあった。仕事の合間に鳳源寺(ほうげんじ)にも立ち寄り、赤穂義士、大石良雄が手…

岩槻の「ほてい家」に見る江戸料亭の粋

住まいから車で30分ほど北へ向かって走ると、ひな人形の産地として有名な岩槻に着く。さらに、国道16号から岩槻駅への道を数分行くと、右手に老舗料亭「ほてい家」の黒い長屋門が見えてくる。長屋門は歴史を刻んだ姿で建っているためか、入るには少し勇気が…

南伊予のこと

3月に愛媛県に出張する予定があるので、この機会にと思い、南伊予に関わる司馬遼太郎の書籍を本棚から取り出し、読み直してみた。『街道をゆく14南伊予・西土佐の道』、『坂の上の雲(一)』、『花神(上)』の3冊である。 これらの本を携えて、松山、内子、…

京都の等持院を訪ねて

京都の庭園が好きである。特に枯山水の庭園を好んで巡ることが多いのだが、等持院はこれといった枯山水はないにしても、雰囲気の好きなところのひとつである。たまたま最初に訪ねたのが冬の朝だったこともあってか、静かな中に何か凛とした気分が漂っていた…

鳩森八幡神社を訪ねて

特任の授業を担当している桜美林大学には、都内のJR千駄ヶ谷駅近くに校舎がある。駅から校舎に向かって数分歩いていくと、校舎の手前に鳩森八幡神社が建っており、境内には本殿の他に能楽堂や富士塚、それに将棋堂などもある。由緒ある神社と見受けられ、…