高橋義郎のブログ

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円空館(岐阜県関市)を訪ねる

 岐阜の関市は刃物の生産地として知られている。筆者にとっては、カミソリの刃を製造する産地として記憶されている街だが、その地に用件があって数日滞在し、近くに円空仏を展示している「円空館」があったので、仕事の帰りに立ち寄ってみた。
 「円空」という名のイメージも、透明感や宇宙感を連想させるもので、大きな和紙に、墨をたっぷりと含ませた筆で大きな円を描いたような、そんな仏教の教えを示唆するものと重なる。円空仏は、かねてより是非とも実際に見てみたかったものである。
 岐阜県には、円空仏が多く残されているそうだ。円空館のパンフレットによれば、江戸時代のはじめ、円空は美濃国(岐阜県)で生まれ、北海道から近畿地方の諸国を遊行し、生涯で12万体の作仏を発願したという。いまでも全国で5,000体ほどが残っているといわれ、そのうち関市内には約330体が存在すると言われている。関市は、円空にとって64年の生涯を終えた地となったのである。
 円空館に展示されていた円空物は、それほど多くはなかった。ただ、粗彫りの仏たちは、親しみを感じさせる、ある種の微笑をたたえていた。おそらく、円空は出会いのあった人々に、その場で仏を粗彫りして手渡していたのではないだろうか。信仰というよりも、庶民の心の拠り所として、祈りの対象にしてもらいたかったのかもしれない。