某コンサルタント会社からBSCに関する社内研修の依頼があり、3月と4月の2か月にわたりBSCの基本講座と作成演習のワークショップをさせていただきました。研修実施の目的をお聞きしたところ、同社の考える価値創造経営の実践を支援するために、BSCの考え方を理解・共有することが有効と考えられたようです。
BSCの説明に先立ち、経営戦略の策定方法を理解することも有効と思われ、戦略分析につながるビジネスフレームワークの代表的な手法を理解し、ビジネスフレームワークから、特にSWOT分析とクロスSWOTから導かれる方針や戦略をBSCに落とし込むプロセスを知ってもらうことにしました。すなわち、
ビジネス環境分析(3C、4P、5F、PEST、SWOT分析など)
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基本戦略策定(クロスSWOT、戦略マップなど)
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具体的施策(BSC、CSF、KGI、KPI、目標、アクションプラン)
といったプロセスを明示したものです。研修では、BSCのフレームワークを活用して、コンサルティング先のクライアントの現状把握と課題抽出をし、改善の提案に結び付ける取り組みについての可能性についても触れました。
企業価値を高め将来を作るには将来・未来に照準を定め将来からのバックキャストを加えて経営をして価値創造ストーリーを立案・可視化すること、財務諸表に表れない資産・価値・活動を加えて「財務」だけではなく人的資本や知的資本などの無形資産(社内だけではなく価値提供先である「顧客」「社会」など)を「価値構造」として捉え経営する。それらはBSCのフレームワークと共通している要素が多く見られることに注目したいところです。
最近、BSCとSWOT分析との併用と利活用の書籍が出版されたり、新聞のコラムに管理職が経営の視点で物事を考える必要性が寄稿されたり、マネジメントシステムをBSCの考え方やフレームワークで見直す機運が感じられるような傾向が散見され始めています。今回の社内研修の依頼も、そのような動きにつながるものと思われました。
(以上)