N社に引き続き、K製菓の中計を5つの視点(経営の視点は中期経営計画として想定)の因果関係で整理・分析すると、下表のようになるのではないかと考え作成してみました。下表を解説する意味で、ケーススタディのスタイルで文章にまとめましたので、併せてご参照下さい。

<ケーススタディ> K製菓は1946年に創業した米菓を中心とする食品製造販売会社である。同社の存在意義は、「お米の恵みを美味しさ・健康・感動という価値に磨き上げ健やかなライフスタイルに貢献する」ことだ。コーポレートビジョンである「ライスイノベーションカンパニー」の実現に向けて、お米の可能性を最大限に引き出すことで、社会に対して新価値や新市場を創造していくことを目指し、2030年度の持続的な成長へとつなげる計画である。同社のビジネスの現状を見てみると、以下のような状況が報告されている。
・売上高については、国内米菓事業・海外事業共に中期経営計画を超過する形で堅調に推移しているが、一方で営業利益については21年度以降の環境変化に起因するコスト高に伴い大幅に悪化。
・国内米菓事業では主力米菓の事業規模拡大、中長期を見据えた商品構成の整備、次世代ユーザーを捉えた新製品の成長などの好ましい傾向は見られるものの、外部環境変化(原材料やエネルギーなどのコスト高)への対応の遅れ、規模拡大による収益低下、生産能力不足や設備投資の増大と製造原価率上昇がリスクとなっている。
・海外事業では東南アジアを中心に成長投資と事業拡大の追い風が吹いているが、グローバル戦略商品の不足や米国事業の収益悪化が懸念されている。
・米菓以外の食品事業では成長投資やM&Aの実行が計画どおりに行われてるが、今後は安定収益化や得意先・販路拡大、それに国内の人口減少や海外需要への対応が課題として挙げられている。
「中長期計画2030」によれば、2030年度の財務目標は、売上高目標1,400億円、営業利益率10%(金額140億円)、売上高平均成長率5%、ROICが8%となっている。それらの財務目標を達成する戦略を3つの事業セグメント毎(国内米菓事業、海外事業、米菓以外の食品事業)に策定している。
一つ目の国内米菓事業では、商品戦略を「顧客視点に立脚したブランド・製品の独自価値の訴求」として新価値創造「ミライベイカ(未来の米菓)」による新領域を拡張する計画である。また、販売戦略では「米菓購買顧客の拡大とK社ブランドの価値向上」を掲げて販売チャンネル拡大や若年層獲得に向けた施策強化を図っている。そして、生産戦略では外部連携による生産ネットワーク化や新製法の開発に力を注ぐ。
二つ目の海外事業では、グルテンフリースナック需要を捉えた収益貢献へのシフトを主眼に、北米事業の立て直しによる黒字化、アジア地域を軸とした生産能力のフル活用と内販強化、グローバル戦略製品のK社ブランド展開、M&Aやアライアンス等による規模拡大を狙っている。
三つ目の米菓以外の食品事業では、災害、環境問題、アレルギー、食料不足などの社会的ニーズを捉えたシーズ事業の収益化を目指し、長期保存食の個人需要開拓による安定成長、米粉パンの生産体制確立と用途拡充、乳酸菌などの機能性素材の新規得意先開拓に取り組んでいるが、それらの成果は未だ芳しくない。
成長を支える経営基盤の強化としては、デジタル戦略、人財戦略、SCM・購買戦略、知財戦略などの展開を通じて組織の能力を高めている。
デジタル戦略では、全体戦略に連動するデジタル化を推進させ、情報の見える化をベースにシステムやデジタルツールの活用を通じて仕事のやり方を変えグループ全体で効率化と付加価値向上を図っている。事業戦略ではデータマネジメントを高度化し現場の可視化と課題解決を実現し、製造における熟練技術者のノウハウに依存した品質や生産効率の改善にAIやIoTといったデジタル技術を活用し生産効率を推進。また、働き方では日々のルーチン業務を減らしてお客様のことを考える時間を創出することや、IT活用人財の育成と配置への取り組みは言うまでもない。
人財戦略としては、(「イノベーション」×「K社らしさ」)を実現する多様な人財の採用・育成・活躍を目指し、コンピテンシーの見える化と適所適材の配置、技術学校やメンター制度を通じた製造技術やノウハウの形式知化と次世代への伝承、社員のチャレンジを支援する制度の充実を進めている。
また、SCM・購買戦略では生産・販売と連携したサプライチェーンの効率化を目指し、知財戦略ではK社全体戦略と連動した知的財産の可視化・取得・利活用の取り組みが進められている。なお、サステイナビリティ経営の推進では、以下のような重要課題と主要KPIを設定している。
・財務の目標 :前述のとおり
・ミライベイカの商品ラインアップ拡充:検討中
・商品の塩分相当量の削減:15%削減(2021年度比)
・米菓以外の食品事業の海外比率:30%
・温室効果ガス排出量削減:40%削減(2017年度比)
・水使用量削減:10%削減(2017年度比)
・プラスチック使用量削減:30%削減(2017年度比)
・女性管理職・監督職の比率:30%
・人財育成投資の推進:30%増加(2021年度比)
・新潟県産米100%のお米パン拡充:1200トン(2030年度目標)
・主要原材料の分散調達シナリオ策定:検討中
出所:
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS01309/81fac280/1975/498b/9eac/d7b37d662cf8/20230825192326032s.pdf
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