高橋義郎のブログ

「5つの視点の因果関係で考える経営」をバランススコアカード(BSC)、経営品質、ISO経営、江戸東京などで考察するサイト

因果関係と相関関係

桜美林学園の顧問を拝命していたとき、出版事業の担当者から大学叢書執筆の依頼がありました。軽い気持ちで受けたのですが、約束の締切日が近づいても原稿がまとまらず辞退を申し出ることにしたところ却下され、突貫作業でなんとか出版にこぎつけたという苦い経験がありました。書籍のタイトルは出版社と相談をして『経営は5つの視点の因果関係で考える』とし、すべての出版準備が完了した後に友人たちと一杯やりながら議論になったのが「因果関係と相関関係の違い」でした。改めて言われてみると、それまでに因果関係について着目して情報収集してみたものの、相関関係についてはあまり気にしていませんでした。

たまたま、ある書籍¹を読んでいたら相関関係と因果関係の違いについて触れている箇所があり、「相関関係とはAが多いほどBも多いという関係であり、これに対して因果関係とはAを増やす操作を加えるとBが増えるという関係をさす」と説明していました。加えて「両者は似ているようですが、相関関係があるからといって、必ずしも因果関係があるとはかぎらない」と言及しています。思うに、相関関係は物事の傾向のようなものであり、因果関係は物事の原因が生じさせる結果との関係とも言えるかもしれません。

因果関係といえば、東京大学名誉教授で政治学者の姜尚中氏が「夏目漱石の作品には因果という言葉が多く使われている」とラジオの講演会²で話していたことを記憶しています。因果という言葉は仏教に関わる領域から派生しているようで、漱石の本を読み返してみると確かに因果という言葉があちこちで目に飛び込んできますね。

(出典)1.『世界は基準値でできている』(永井・村上・小野・岸本、講談社ブルーバックス)、2.NHKラジオ第二「文化講演会」(2018年2月25日放送)

 

リスクマネジメントとの出会い

15年以上も前の話で恐縮ですが、ISOマネジメントシステムの規格要求事項が改訂されることになり、リスクマネジメントの考え方が導入されるのではないかと、関係者の間で話題と戸惑いが広がった時期がありました。当時のリスクマネジメント規格はISO31000で、実際にその規格要求事項を読んでみると勤務していた外資系企業で展開しているリスクマネジメントのフレームワークとほぼ同じだったことから、リスクマネジメントの公開セミナー開催企画書を作成してG社へ提案したところ採用された思い出があります。

ISO31000の功は、それまで学者の数だけあると言われていたリスクの定義を国際標準として定義したことでしょうか。ISO31000(2018年版)ではリスクとは「目的に対する不確かさの影響」とあり、注記として「影響とは、期待されていることから乖離(かいり)することで、影響には好ましいもの、好ましくないもの、又はその両方の場合があり得る」と書かれています¹。

例えば、売上100億円の目標を設定した場合、90億円の売上結果では何らかの要因(不確かさ)によって10億円不足という好ましくない影響(乖離)がマイナスのリスクとして生じたことになります。逆に110億円の売上成果になれば何らかの要因(不確かさ)により10億円増加という好ましい影響(乖離)がプラスのリスクとして得られ、いずれも乖離ですから定量化できる指標とも考えられるでしょう。ちなみに、2015年版のISO9001(品質マネジメントシステム)²とISO14001(環境マネジメントシステム)³には、リスクを「不確かさの影響」とだけ簡潔に記述しています。

G社のS会長からはBSC(バランススコアカード)とともにリスクマネジメントのセミナー講師も依頼され、年間を通じて定期的に2つのセミナー講師を長きにわたり担当させていただきました。そのS会長が先日他界されたと伺い、またひとり、筆者がメンターとして仰ぐ先達が逝ってしまわれた残念さと寂しさを感じています。

(出典)1.『対訳ISO31000:2018』、2.『対訳ISO9001:2015』、3.『対訳ISO14001:2015』(いずれも一般財団法人日本規格協会刊)

 

製造業のサービス化での思い出

新聞記事を読んでいて、桜美林大学大学院の教授を拝命していたころ、ゼミの大学院生が製造業のサービス化を研究テーマにして修士論文を書き、その原稿を見てくれと言って持ってきたことを思い出しました。確か3社ほどの事例を比較研修していたと記憶していますが、仮説に沿って関連する文献や情報などの研究資料はしっかりと収集整理しており、論文審査では複数の先生方から高い評価点が与えられたことを覚えています。とりわけ論文指導の中で院生が悩んでいた「研究成果をどのような理論やフレームワークでまとめ考察していくか」という命題に対して、ホワイトボードにお互いの考えを書き連ねながら院生と毎日のように議論を重ねていったことを、今でも懐かしく思っています。

冒頭に書きました新聞記事とは、「ストック型モデルへ動く企業」というコラム記事¹で、トヨタ自動車、日立製作所、それにコマツの事例が紹介されていたものです。トヨタ自動車では補給部品や販売金融などのバリューチェーンサービスの営業利益が2兆円規模に成長してきたこと。日立製作所でも販売した機器から収集したデータを活用して付加価値のあるサービスを提供していること。そしてコマツでは建設機械・車両売上高のアフターマーケット(部品・サービス等)比率が25年3月期で50%以上に達したことなどが報告されていました。経済の成熟化で価格競争が激しくなり、フロー型モデルでは高い収益性が見込みにくくなっていることが、ストック型モデルに注目が集まる背景となっているようです。

大学院の専任教授の職から離れて既に5年が経ちましたが、未だに非常勤講師として教鞭をとりながら院生と接しているのは楽しくもあり有難いことです。ちなみに、ゼミの語源は「種」であり²、芽生え苗を育てることに意義がある育苗の場では、将来を見据えて大木のようにしっかり根を張り地上で実り多き人財になるよう祈りながらの取組でした。

(出典)1.日本経済新聞(2026年4月28日付夕刊)、2.日本経済新聞(2026年4月27日付夕刊)

 

鏡という歴史から学ぶ姿勢

会社のオフィスや工場などでよく見かける光景のひとつに、「過去のトラブルから学ぶ」という活動があります。例えば、職場のメンバーが集まり、額を寄せ合いながら製造工程で発生した不良品のサンプルを眺めながら何故このような不良品が出来てしまったのか、その原因を特定し改善の方法を議論し合いながら再発の防止に向けた仕組みづくりや教育訓練をしていく、いわゆる「学びの場」を設けている事例と言えましょう。世の中では学習する組織という言葉もよく使われているように、「学習」という言葉には前向きで真摯な取り組み姿勢が感じられます。特に再現性のある技術システムの領域では、このような学習の機会は誠に有効な機会と思います。

一方、我が身を含めた人間の関わる社会システムの領域では、学びはあるにせよ、すぐに忘れてしまったり同じような問題や行動を繰り返してしまったりで、技術システムの世界と比較すると学習効果が違ったもののようにも思われます。それは歴史を見ても頷けるようで、「歴史は繰り返す」などという格言にも象徴されている印象があります。本来であれば人は歴史に学ばなければならないという識者もいて、例えば小林秀雄は「昔は『増鏡』とか『今鏡』とか、歴史のことを鏡と言ったのです。鏡の中には君自身が映るのです。歴史を読んで、自己を発見できないような歴史では駄目です」と講演で述べています¹。賢者は歴史から学ぶという言葉からも、鏡としての歴史を再認識することの大切さを小林秀雄は説いているのです。

東京大学名誉教授の姜尚中氏が、NHKラジオ第二の文化講演会で夏目漱石の『硝子戸の中』を引用しながら講演をしていた語りでは、「漱石がこの本を書いた時代と現在はとてもよく似ている」と喝破していました²。姜尚中氏もまた、歴史という鏡に現在の世相を映しながら、ある意味で不気味な時代の到来を予感しているのかもしれません。

(出典)1.『学生との対話』(小林秀雄、新潮文庫、p.139)、2.NHKラジオ第二放送「文化講演会」(2018年2月25日放送)

 

職場異動と人財育成の難しさ

人事異動は人財育成の手段のひとつであると、しばしば経営者や人事担当者から伺うことがあります。なるべく多くの職場や業務の経験を積ませて、社員の業務スキルやマネジメントスキルを高めてもらいたいという意図があるようです。筆者がお世話になった学校法人でも職員を数年ごとに職場異動してもらい、人事ローテーションを経て組織全体の視点で業務に取り組んでもらうことを目指していました。ただ、異動させられる職員に対してローテーションの意図や期待をしっかりと伝達し納得してもらうことも、上記の施策の成功要因とも思われました。

過去の資料を整理していると、「専門人材、畑違いの異動」という新聞記事¹が目に留まりました。積み上げてきたキャリアと無関係の分野での業務を命じられたら素直に受け入れられるのか、特に専門分野の経験を買われて同業他社にヘッドハンティングされ専門人材として採用されて転職した社員としては、配転に応じる義務はないとして訴訟問題にまで発展をした事例の記事でした。結局、訴訟を起こした社員には敗訴となり、その後、腐らずに異動を受け入れて知見を深め、その担当領域において講演をするほどの専門性を身に付けたという話で、思いもしない経験も、本人を生かすことさえできれば、やがてキャリアアップに役立つかもしれないという教訓めいた記事でした。

この記事を再読しながら、日本数学史上最大の数学者である岡潔氏が文芸評論家として著名な小林秀雄氏に「人は極端になにかをやれば、必ず好きになるという性質をもっています」と語っていたことを思い出します²。また、人財育成領域に「1万時間の法則」と呼ばれる経験則があり、どんな分野であれ、人がプロフェッショナルに育つには合計1万時間の研鑽さ必要という説があるそうです³。1万時間というのは約3年と半年くらいの勤務時間とも言えるでしょうか。やはり「石の上にも3年」ということわざにも一理あるのかなと頷くことしきりでした。

(参考資料)

1.「専門人材、畑違いの異動」日本経済新聞、2023年12月17日付
2.『人間の建設』小林秀雄・岡潔、新潮文庫
3.「1万時間は正しいか」日本経済新聞(夕刊)、2025年12月15日付

 

ブランディング効果の測定指標

仕事の関係で毎月のように訪問している某社で、ブランドについて意見交換をする機会がありました。その業界では全国的にトップシェアを誇る著名なブランドを築かれてきた某社ですから、筆者のようなブランドの領域において門外漢がくちばしを挟む余地など毛頭ありませんが、気になったのは指標(KGI、KPI)のことでした。例えば、ブランド戦略がうまくいっているのかを、どのように把握するのかという観点での議論で、NPS(Net Promote Score)とNPI(Next Purchase Intention)とは、どちらが売上や顧客の増大に直結する指標なのかといった具合です。

素人の筆者にしてみれば、NPIは購買意思ですから実際に購入する前の話であり、NPSは購入後の感動体験から他者へ推奨するので、NPIよりNPSのほうが顧客獲得の可能性が高いように思えます。でも、ブランディングの中長期的な効果の測定指標として、NPIは将来の売上・利益に直結する先行指標として有効という識者の意見も聞かれます(出典:日経ビジネス2025年02月17日号)。その記事で西口氏は、「ブランディングの目的を明確にしてゴールとなるKGIと中間指標のKPIを設定し、投資のリターンでもある成果を得る」ことが大事で、失敗しない成功要因であると述べています。

ブランディングの効果は測定できるのかという問いに対しても西口氏の回答は明快で、「短期的な売上・利益アップが目的なら売上額・顧客数・購入頻度の向上を、社内外へのメッセージ発信なら認知度や好感度を、長期ならNPIなど」ですが、やはりもっとも重要なのはブランディングの「目的設定」とのことでした。もっとも目的設定の重要性はブランディングに限らず、ほとんどすべての経営や業務のマネジメントに共通する取組と思われます。ちなみに、西川氏はブランディングの目的として「想起率向上(売上・利益志向)、心理的・情緒的付加価値創出、社内外のステークホルダー認知度・好感度向上」の3つを挙げています。ブランディングの門外漢である筆者にとって、とても参考になる記事でした。

(出典:日経ビジネス、2025年02月17日号、「著者に聞く」、西口一希氏)

 

全体最適経営と部分最適業務

全体最適と部分最適について執筆を試みたことがあります。一冊の本にまとめるほどの分量ではなかったため、拙書『経営は5つの視点の因果関係で考える』(桜美林大学叢書)のひとつの章に入れ込んでみたのですが、今一度研究テーマとして取り組んでも良いかなと思っています。その拙書のなかで、経営者が目指している「ありたい姿」や「経営の方向」に対して、スタッフや現場が経営者の想いやビジョンを十分に理解していないために、両者の行動や目標に乖離が生じるという問題が全体最適経営から部分最適(あるいは部署最適)へと追いやってしまうのではないかとの見解を述べさせていただきました。

部分最適は大企業病や規律違反を引き起こすばかりでなく、私たちの国が直面している生産性にも影響を及ぼすものと考えています。例えば、ユニクロなどのブランドを展開するファーストリテイリングの柳井氏は、かつて事業拡大とともに大企業病に陥っていることへの危機感を嘆き、社員が自分の部署のことだけを見て部署最適を求めてしまい、経営者感覚を持てずに大きな変化についていけなかったという発言がメディアに紹介されていました(出典:日本経済新聞、2016年4月13日)。

全体最適経営というコンセプトは意外に具体的なとらえ方が難しいようですが、筆者はビジネスエクセレンスモデル(経営品質賞の構成)、バランススコアカード(BSC)、それにISOマネジメントシステムといった3つのフレームワークに全体最適経営のモデルを求めました。また、制約理論でのボトルネックや個別最適価値観で見られるように、組織の生産性や効率の向上、ひいては組織価値向上や働き方改革への取組みにおいても影響を及ぼす要因であることも認識されるべきことでしょう。

そのような振り返りをしているときに、「仕事に必要な全体最適の視点」という記事が日本経済新聞(2026年4月30日)の経済教室に掲載されているのが目に留まりました。その記事によると、社員が仕事の行き詰まりや報われなさを感じている違和感の正体は全体最適と部分最適のズレにあるのではないかと提起しています。いままでは一体化されていた仕事が効率化と分業が進み「自分の担当範囲だけ頑張ればいい」という構造になった結果が、全体最適化経営から部分最適化への歪みを生じさせるというのです。「自分の仕事を俯瞰し提供価値を考えていくと仕事の組み立て方が変わり信頼も得られ、全体最適という考え方は分断から、つながりへ戻るための新しい働き方の思想」という投稿者の意図に賛同です。

(以上)

読書でワクワク感を楽しむ贅沢

なぜ本が読めなくなるのかというテーマでの書籍や記事が散見される今日このごろですが、自分ではどうなのかと振り返ってみると、なるほど以前に比べて読書量は減っていることは間違いのないところです。その代わりと言ってはなんですが、日本経済新聞や日経ビジネスの記事は毎週のようにそれなりの文字量を読んでいるので、自分自身では読書量が減っている実感はないのかなとも思ってしまっているのかもしれません。

ただ、紙媒体の記事に限らず仕事関係や興味分野を選んで読み流していると、脳への刺激が限定されてしまって広い視野で物事を考えたり洞察することが阻害されるとの意見を公表している専門家もいるようです。例えば、本を読んでいると自分の必要としている記述箇所以外の知識にも触れることや、書店や図書館に行って本のタイトルを眺めたりすることも、上記の阻害要因を解決することにもなると某識者が講演で話していたことを覚えています。

「日本人の6割以上が1か月に1冊も本を読まない時代であり、読書で作品を味わうより効率を優先する読み手の傾向も見られ、社会が読まないほうが合理的になる設計になっているのではという衝撃的な意見も聞かれる。読書は他人の言葉に長く付き合い思考を続ける行為なのに・・」(出典:日本経済新聞2026年4月25日)という記事を読むにつけ、どちらかというと読書でワクワク感を得らえることを楽しみにして本屋で買ってきた書籍をめくりインクと紙の匂いに新鮮さを覚える我が身としては、読書の楽しみを知らないことへの「もったいなさ」を惜しむことしきりです。

(以上)

 

今週出会った経営訓・人生訓(2026年2週)

1.徹底した直販体制とフラット組織で競争優位:「課題が起こるとまずキーエンスさんと相談して運用してみる」と顧客に言わしめるキーエンス。「電話での問い合わせでは95%はその場で回答してくれる」「つながらなくても30分で折り返しがくる」など顧客評価の指標としても参考になる。直販は技術に精通した営業担当を育て、フラットな組織は自由な気風で革新を起こす。厳しい実力主義は経営者候補の選抜にも機能。(日経新聞:2025年11月2日より一部引用)

2.ペンを持ち書くことは思考を深め心を整える時間。(日本経済新聞社:2025年11月17日より一部引用)

3.議論に意見の違いが出るのは当たり前で、課題解決のプロセス。多様な立場や意見を共有することは、偏見や思い込みを是正できる。(日本経済新聞:2025年11月17日より一部引用)

4.組織づくりは宗教に学べという経営者がいる。宗教の共通点は、①同じ場所に集まる、②同じ物を読む、③同じ物を身に付ける、④同じポーズをする、⑤神話があるなどだそうだ。経営計画が55ヵ年計画であることもユニークで、大きな景気のサイクルは50年から55年というのが背景にあるそうだ。一度超長期計画を作ってしまえば頻繁に経営計画を作る手間や負担は減るというメリットもありそうだ。(日本経済新聞:2025年10月29日より一部引用)

5.情報システムのアーキテクチャーに関する取り組みにシステム・オブ・システムズ(SoS)という手法があるそうだ。「最適化された複数のシステムで成り立っているものは無理やり統合化せず、統制のとれた連携の仕組みを目指す」というアプローチ。個別の情報システム(事業体や工場などの単位と言い換えても良いか)が相互に連携するための「しくみ」だけをあらかじめ組み込んでおくことがポイントのようだ。(日本経済新聞より一部引用)

6.三智とは「学んで得る智、人と交わって得る智、自らの体験によって得る人生智」と紹介されている。本・人・旅とも言い換えられるかもしれない。歴史から学ぶことも大事で、解決への思考や行動へのヒントを知り、新たな発見もあり、難局を乗り越えた後に備えて組織(国や会社など)をどのように復活させるかという道筋を考えていくと、歴史から選択肢を選べるようになることは同感だ。データ(数字)、ファクト(事実)、ロジック(論理)をもとに、論理を組み立てて考える習慣をつける。排外主義が勃興するのは経済状況が悪化し閉塞感が蔓延しているときで、そのようなときこそ、因果関係を解き事実を発見することが肝要か。(日本経済新聞:2025年12月24日より一部引用)

7.人財育成領域に「1万時間の法則」という経験則がある。1日8時間で計算すると、およそ3年と半年がプロフェッショナルになるために必要な年月ということだ。石の上にも3年ということわざの根拠とも思われる。(日本経済新聞:2025年12月15日より一部引用)

(以上)

 

年末のご挨拶と経営実践無料公開セミナー開催案内

今年も残すところ数日となりましたが、いかがお過ごしのことでしょうか。

さて、本年もフィリップス、ヴェオリアウォーター、桜美林大学、日本経済大学等のご縁で大変お世話になり、誠にありがとうございました。来年も、引き続きのご指導、ご鞭撻のほど、宜しくお願い申し上げます。

なお、来年も2月21日(土)午後に恒例の経営実践公開セミナーを開催する予定です。日本のみならず、グローバルで多くの企業がエクセレンスモデルを経営やTQMのフレームワークとして導入してきてから、30年余りが経ちました。米国、EU、日本での主なエクセレンスモデルの活動と成果を振り返りながら最新動向、フレームワークの変遷や協調点などについて総括することも意義あることと思われ、今回のテーマと致しました。下記に開催要領をお知らせしますので、参加ご希望の方は髙橋までお知らせください。

それでは、どうぞ、良いお年をお迎えください。

【経営戦略公開セミナー開催案内】

◆ 第2回目テーマ : (仮称)経営品質賞(エクセレンスモデル)の最新動向
◆ 開催日時  : 2026年2月21日(土)、13時30分~17時
◆ 開催場所 : 日本経済大学大学院246ホール(渋谷駅新南改札下車   https://maps.app.goo.gl/nsp4sHAhS2FzfDPRA
◆ プログラム 
1)主宰者挨拶
(高橋文行:日本経済大学大学院教授)
2)マルコムボルドリッジ米国品質賞の最新動向
(黒瀨晋氏:経営コンサルタント、特定非営利活動法人内部統制評価機構 理事長、グローバルクオリティフォーラムメンバー)
3)EFQM(欧州品質賞)の最新動向
(髙橋義郎:日本経済大学大学院非常勤講師、日本経営品質学会理事)
4)日本経営品質賞の最新動向
(高戸祥子氏:経営コンサルタント、日本経営品質賞審査員、経営品質アセッサーフォーラム理事、栃木県経営品質協議会事務局)
5)総括、意見交換、質疑応答など
(参加者全員)
6)懇親会 (17時から有志のみ)
◆ 講演要旨
日本のみならずグローバルで多くの企業がエクセレンスモデルを経営やTQMのフレームワークとして導入してきてから30年余りが経ちました。米国、EU、日本での主なエクセレンスモデルの活動と成果を振り返りながら最新動向、フレームワークの変遷や協調点などについて総括することも意義あることと思われ、話題提供者と聴講者との意見交換を通じて今後の展望についても議論を進めていくことにしたいと思います。
◆ 開催案内は日本経済大学大学院ホームページにアップされます。
◆ セミナーはオンラインと会場参加型の併用で行う予定です。
(オンライン参加招待メールは2月中旬にメールでお送りします)

(以上)

 

大和クレスの経営に見る5つの視点の因果関係

 9月20日(土)に開催しました日本経済大学大学院の経営実践セミナーには多くの方々に参加していただき、誠に有難うございました。今回は、そのプレゼンの中で紹介したコンクリート製品製造販売の「大和クレス」(https://www.daiwa-cres.co.jp/)という企業の新聞記事(日本経済新聞、2025年9月8日付)を引用させていただき、同社の取り組みを5つの視点の因果関係で分析した事例をアップすることにします。

 2代目社長の父の長女として生まれた現社長の林美佐氏は、大学を卒業後に企業などで働いた後、結婚をして専業主婦として娘さんを育てていたのですが、父が急に亡くなり経緯を経て社長の重責を引き継いだ方です。業界の知識は無かったものの祖父や父の考え方は染みついていたようで、まずはトップダウン型から社員を巻き込んだ経営を志向し、手掛けたのは「会社の悪口アンケート」。匿名で会社への不満を書いてもらい、双方向の対話で社員の本音を引き出し経営のヒントを得て改善へ。

 不満が集中した人事評価制度も一新し、縦割り感を強めていた部署ごとの小部屋を廃止してフロアの壁をぶち抜いて横の議論をしやすくしたり、生産性や帳簿もデジタル化し、女性社員だけがお茶汲みやゴミ回収をしていた習慣も変えたという取り組みは、働きやすい会社へ変貌していきました。その想いは社外にも伝わり、新卒応募者は1桁から3桁へ。若手や女性の採用も増え、30年ぶりに女性の総合職も誕生。売上も増加し、岡山県の有識者会議委員は商工会議所青年部副会長にも就任し、人財・社会・顧客からの評価からも高い評価が得られた証左となりました。

 そのような大和クレスの取り組みを5つの視点の因果関係で描いてみると、下表のようなスコアカードで表せるのではないでしょうか。ご意見など伺えれば幸いです。

(以上)

日本経済大学大学院経営実践セミナー無料開催(9月20日)

残暑、お見舞い申し上げます。
立秋が過ぎたとはいえ厳しい暑さが続いておりますが、いかがお過ごしのことでしょうか。
さて、このたび、日本経済大学大学院インテリジェンス・マネジメント研究所の活動の一環として、本学大学院キャンパスにて「経営実践セミナー」を開催する運びとなりましたので、ここにご案内申し上げます。
本セミナーは、経営に関する研究や実践の知見を広く共有し、話題提供者と参加者とのオープンな意見交換や学びの場とすることで、経営学全般の理解促進と普及、さらには社会的課題の解決に寄与することを目的としております。
つきましては、下記のとおり開催いたしますので、奮ってご参加賜りますようお願い申し上げます。

<開催要領>

◆開催日時
2025年9月20日(土) 13時30分~17時

◆開催場所
東京都渋谷区桜丘町25-17 日本経済大学大学院246ホールhttps://maps.app.goo.gl/nsp4sHAhS2FzfDPRA
会場でのご参加を願っておりますが、Zoomでのご参加希望の場合下記お申込みフォームでお知らせ下さい。

◆プログラム
1)主宰者挨拶(高橋文行:日本経済大学大学院教授)
2)開催趣旨説明(髙橋義郎:日本経済大学大学院非常勤講師)
3)講演①「企業経営の基本モデル」紹介」(渡辺晋久氏(渡辺コンサルティングオフィス代表取締役)
4)講演②「上記基本モデルにおける指標の重要性」(髙橋義郎:前掲)
5)閉会挨拶(髙橋文行:前掲)
6)懇親会(有志)

◆お申込み方法:下記のFormsにてお申し込みください。https://forms.office.com/r/bhNni76Yqd

皆様のお申込みを心よりお待ちしております。

(追伸1)本セミナーでは、個人(あるいはグループ)で研究や業務の成果を発表いただける講演テーマを募集しています。講演希望テーマがありましたら、上記申込フォームにご記入願えれば幸いです。

(追伸2)本学のホームページに開催案内が掲載されています。https://shibuya.jue.ac.jp/graduate_school/seminar/

(以上)

5つの視点の因果関係でK製菓の中計を整理・分析

N社に引き続き、K製菓の中計を5つの視点(経営の視点は中期経営計画として想定)の因果関係で整理・分析すると、下表のようになるのではないかと考え作成してみました。下表を解説する意味で、ケーススタディのスタイルで文章にまとめましたので、併せてご参照下さい。

<ケーススタディ> K製菓は1946年に創業した米菓を中心とする食品製造販売会社である。同社の存在意義は、「お米の恵みを美味しさ・健康・感動という価値に磨き上げ健やかなライフスタイルに貢献する」ことだ。コーポレートビジョンである「ライスイノベーションカンパニー」の実現に向けて、お米の可能性を最大限に引き出すことで、社会に対して新価値や新市場を創造していくことを目指し、2030年度の持続的な成長へとつなげる計画である。同社のビジネスの現状を見てみると、以下のような状況が報告されている。

・売上高については、国内米菓事業・海外事業共に中期経営計画を超過する形で堅調に推移しているが、一方で営業利益については21年度以降の環境変化に起因するコスト高に伴い大幅に悪化。
・国内米菓事業では主力米菓の事業規模拡大、中長期を見据えた商品構成の整備、次世代ユーザーを捉えた新製品の成長などの好ましい傾向は見られるものの、外部環境変化(原材料やエネルギーなどのコスト高)への対応の遅れ、規模拡大による収益低下、生産能力不足や設備投資の増大と製造原価率上昇がリスクとなっている。
・海外事業では東南アジアを中心に成長投資と事業拡大の追い風が吹いているが、グローバル戦略商品の不足や米国事業の収益悪化が懸念されている。
・米菓以外の食品事業では成長投資やM&Aの実行が計画どおりに行われてるが、今後は安定収益化や得意先・販路拡大、それに国内の人口減少や海外需要への対応が課題として挙げられている。

「中長期計画2030」によれば、2030年度の財務目標は、売上高目標1,400億円、営業利益率10%(金額140億円)、売上高平均成長率5%、ROICが8%となっている。それらの財務目標を達成する戦略を3つの事業セグメント毎(国内米菓事業、海外事業、米菓以外の食品事業)に策定している。

一つ目の国内米菓事業では、商品戦略を「顧客視点に立脚したブランド・製品の独自価値の訴求」として新価値創造「ミライベイカ(未来の米菓)」による新領域を拡張する計画である。また、販売戦略では「米菓購買顧客の拡大とK社ブランドの価値向上」を掲げて販売チャンネル拡大や若年層獲得に向けた施策強化を図っている。そして、生産戦略では外部連携による生産ネットワーク化や新製法の開発に力を注ぐ。

二つ目の海外事業では、グルテンフリースナック需要を捉えた収益貢献へのシフトを主眼に、北米事業の立て直しによる黒字化、アジア地域を軸とした生産能力のフル活用と内販強化、グローバル戦略製品のK社ブランド展開、M&Aやアライアンス等による規模拡大を狙っている。

三つ目の米菓以外の食品事業では、災害、環境問題、アレルギー、食料不足などの社会的ニーズを捉えたシーズ事業の収益化を目指し、長期保存食の個人需要開拓による安定成長、米粉パンの生産体制確立と用途拡充、乳酸菌などの機能性素材の新規得意先開拓に取り組んでいるが、それらの成果は未だ芳しくない。

成長を支える経営基盤の強化としては、デジタル戦略、人財戦略、SCM・購買戦略、知財戦略などの展開を通じて組織の能力を高めている。

デジタル戦略では、全体戦略に連動するデジタル化を推進させ、情報の見える化をベースにシステムやデジタルツールの活用を通じて仕事のやり方を変えグループ全体で効率化と付加価値向上を図っている。事業戦略ではデータマネジメントを高度化し現場の可視化と課題解決を実現し、製造における熟練技術者のノウハウに依存した品質や生産効率の改善にAIやIoTといったデジタル技術を活用し生産効率を推進。また、働き方では日々のルーチン業務を減らしてお客様のことを考える時間を創出することや、IT活用人財の育成と配置への取り組みは言うまでもない。

人財戦略としては、(「イノベーション」×「K社らしさ」)を実現する多様な人財の採用・育成・活躍を目指し、コンピテンシーの見える化と適所適材の配置、技術学校やメンター制度を通じた製造技術やノウハウの形式知化と次世代への伝承、社員のチャレンジを支援する制度の充実を進めている。

また、SCM・購買戦略では生産・販売と連携したサプライチェーンの効率化を目指し、知財戦略ではK社全体戦略と連動した知的財産の可視化・取得・利活用の取り組みが進められている。なお、サステイナビリティ経営の推進では、以下のような重要課題と主要KPIを設定している。

・財務の目標 :前述のとおり
・ミライベイカの商品ラインアップ拡充:検討中
・商品の塩分相当量の削減:15%削減(2021年度比)
・米菓以外の食品事業の海外比率:30%
・温室効果ガス排出量削減:40%削減(2017年度比)
・水使用量削減:10%削減(2017年度比)
・プラスチック使用量削減:30%削減(2017年度比)
・女性管理職・監督職の比率:30%
・人財育成投資の推進:30%増加(2021年度比)
・新潟県産米100%のお米パン拡充:1200トン(2030年度目標)
・主要原材料の分散調達シナリオ策定:検討中

出所:

https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS01309/81fac280/1975/498b/9eac/d7b37d662cf8/20230825192326032s.pdf

(以上)