経営品質という言葉に出会ってから30年ほど経ちました。以前にもどこかの稿で触れたかと思いますが、勤務していた日本支社へオランダ本社からビジネスエクセレンスモデルでセルフアセスメントをするようにとの方針が伝えられ、各事業部長と協議をしたことが始まりでした。そのエクセレンスモデルが欧州品質賞(EFQM:European Foundation for Quality Management)で、エクセレンスモデルそのものが分かっていないうえに配布された説明資料は英文で書かれていたこともあって一向に理解が進まず、ちょうど生産性本部が展開し始めた日本経営品質賞のフレームワークを参考にしながら日本支社での導入展開を行ったときの苦労を未だに覚えています。
その後、日本経営品質賞は地方での協議会発足やコンサルティング活動などを通じて、日本の中で様々な形態で浸透していった経緯がありますが、日本経営品質学会もその一翼を担っていた組織でしょう。幹部の方々のご尽力により、今年も研究発表大会が10月24日に開催され、筆者も会場に伺いました。発表内容は幅広い領域で網羅され、基調講演には「こども家庭庁」長官の藤原朋子氏が登壇され、統一演題には「AIエージェント経営品質における直感・暗黙知・意味生成」、「組織プロフィールを学習装置として捉える」、「魅力あるまちづくりのための新たな価値形成を志向する地域経営:新潟県長岡市の取り組み」、「職員は実践と内省を通じてどのように判断前提を更新するか:福祉事業法人における継続実践記録と最終ワークシート分析からの考察」、「価値創造型DXに向けた組織能力発達モデルの構築」などの研究報告がありました。
上記の基調講演や研究報告で一貫している共通点は、組織経営のベースとなる人財、人間性、それに企業風土、文化といった組織経営のベースとなるキーワードだったろうと思われました。長岡市の取組みについての報告では、「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」といった名言まで引用されていました¹。EFQMもISOマネジメントシステムも、昨今の現在の改訂版にはカルチャーとか文化という用語が新たに頻用されはじめており、今大会の報告内容との整合が窺われたことは偶然の一致と言うより必然だったのかもしれません。
(出典1:https://biz-kotoba.com/meigen/yamamoto-isoroku-yattemise/)