高橋義郎のブログ

経営品質、バランススコアカード、リスクマネジメント、ISO経営、江戸東京、などについてのコミュニティ型ブログです。

観光リスクマネジメントをISO31000で考える

 筆者が勤務する大学の学群で、2019年度から観光リスクマネジメント論が開講され、翌年の2020年度は筆者が授業を担当しました。授業の開講準備として、観光リスクマネジメントのテーマを冠する先行研究や他大学での開講状況を中心に事前調査を進めてきましたが、意外にもそれらの事例や情報は多くありませんでした。先行研究の多くは、観光リスクというよりも観光危機管理の領域に属する内容の公開情報が多く、又、他大学でも開講の事例は少なかったのです。
 ただ、観光に関わる書籍や文献や、授業科目の中の一部に、観光リスクのマネジメントを包含しているものは散見されます。それらの事前調査を通じて感じた問題意識としては、観光学に属する書籍や文献は多いにもかかわらず、なぜ観光リスクについての資料は少ないのか、という疑問でした。ちなみに、筆者は、観光リスクマネジメントと観光危機管理とは、そのニュアンスに違いがあるとし、観光危機管理は観光リスクマネジメントの中のひとつの領域と位置づけてみたいと考えています。
 2つ目の問題意識としては、観光リスクや観光危機管理の文献や資料にはリスクマネジメントの国際標準規格であるISO31000のフレームワークが引用されているにもかかわらず、リスクや危機管理の要因特定、分析、評価、対応といった一連のリスクアセスメントやマネジメントへの適用が十分とは言えない事例が多く見られたことでした。そして3つ目の問題意識としては、昨今、注目を集めている各種のツーリズムにおける観光リスクの分析の事例が少なかったことでした。
 これらの問題意識を踏まえて、今年度の授業資料をもとに、研究ノートなどにまとめてみたいと作業を進めています。その中には、授業を履修した学生たちの反応や、課題への回答の傾向なども織り込んで考察をしてみたい。ちなみに、観光リスクとリスクマネジメント(アセスメント)のフレームワークを関係づけた傾向の資料が公開されていたので、そのURLを以下に紹介しておきます。
https://www.mlit.go.jp/common/000138935.pdf

以上