高橋義郎のブログ

経営品質、バランススコアカード、リスクマネジメント、ISO経営、江戸東京、などについてのコミュニティ型ブログです。

BSCを見直す(1)BSCとの出会い

 すこし昔話からはじめたいと思います。筆者がBSC(バランススコアカード)に出会ったのは、1990年代後半のことでした。外資系企業フィリップスの日本支社に勤務していたときに、日本経営品質賞のセミナーに頻繁に参加していた時期がありました。アサヒビールや富士ゼロックス、それにリコーなど,日本を代表するような企業が日本経営品質賞の受賞に沸いていたころのことで、それらのセミナーは、筆者の業務にも大変参考になったのです。

 と言いますのも、ちょうどそのころ、筆者が勤務していた企業でオランダに本拠を置くフィリップス社では、BESTプログラム(Business Excellence for Speed and Teamwork)という、いわゆるTQMの全社的展開が行われていました。そのプログラムでは、ビジネスエクセレンスモデル(経営品質賞のフレームワーク)に欧州品質賞(EFQM : European Foundation for Quality Management)を採用していたからでした。

 そのようなセミナーが渋谷の生産性本部で開催されていた或る日、筆者は価値創造のプロセスに関する指標の考え方について質問をしたことがありました。そのとき、日本総合研究所の方から「バランススコアカードという手法があるので研究してみてはどうか」という回答をいただいた記憶があります。筆者がバランススコアカードを知った最初の機会でした。

 一昨年に上梓した書籍のテーマである「5つの視点の因果関係」は、そのバランススコアカードのフレームワークから導かれたものです。下記に示すように、5つの視点が因果関係で一連のつながりを持って構成され、この5つの視点の因果関係は、多くの経営手法にも適用されている普遍性の高い考え方であることが、筆者のこれまでの経験と研究でわかってきました。また、実際に優れた経営を実践している企業や非営利組織の活動成果を5つの視点の因果関係で分析してみると、素晴らしい取り組みを「見える化」することができたのです。

   ⑤ 組織価値向上 / 財務目標の達成

     ↑

   ④ 顧客価値 / 顧客の評価向上

     ↑

   ③ 価値の創造と提供 / 業務の質の向上

     ↑

   ② 組織能力 / 個人能力の向上

     ↑

   ① 組織の理念/ビジョン/方針/行動指針/目標/風土/文化など

(以上)