高橋義郎のブログ

経営品質、バランススコアカード、リスクマネジメント、ISO経営、江戸東京、などについてのコミュニティ型ブログです。

BSCを見直す(6)戦略マップは戦略共有のコミュニケーションツール

 前回の稿で戦略マップについて紹介しましたが、1か月ほど前に、ある知人から戦略マップが役に立ったというメールをもらいました。

 そのメールによれば、筆者の『経営は5つの視点の因果関係で考える』に掲載してある戦略アップを参考にして中期開発計画の説明を経営チームにしたところ、これが思いのほか好評で、「分かりやすい」とか「良く理解できた」といった意見が寄せられたとのことでした。

 「どんな本を参考にしたのか」などという質問もあったそうで、単に開発計画を述べるだけではなく、事業成果や顧客視点につながることが強調できたことが成功要因だったのでしょう。

 ことほどさように、戦略マップは事業戦略のシナリオをビジュアルに因果関係を明らかにできることから、事業戦略を理解・共有できるコミュニケーションツールとしても有益です。

 かつて都立病院でBSC(バランススコアカード)を導入し展開していた医師にインタビューをしたことがありますが、同氏もBSCの有効な機能としてはコミュニケーションツールとしての役割だったと述懐していたことを覚えています。

 5つの視点の因果関係、すなわち、経営の視点→個人・組織の能力(学習と成長)の視点→変革・改善プロセスの視点→顧客・社会の視点→事業成果の視点という全体最適の流れは、これを聞く経営チームには納得感と安堵感が生まれるはずです。

 なぜならば、開発担当部署(あるいは担当者)が事業成果を念頭において開発計画を作る全体最適志向と、開発業務自体の遂行を目的として作る部署最適志向とでは、おのずと開発計画のシナリオが違ってくるからです。

 前者は会社の事業戦略に沿ったシナリオになるのに対して、後者ではそうならない傾向・可能性が高くなるのではないかと危惧されてしまいます。BSCが全体最適化経営を支援できる理由が、ここにあります。

(以上)