高橋義郎のブログ

経営品質、バランススコアカード、リスクマネジメント、ISO経営、江戸東京、などについてのコミュニティ型ブログです。

BSCを見直す(5)BSCの基礎知識を理解する

BSC(バランススコアカード、Balanced Scorecard)と全体最適化経営について述べてきましたが、ここでBSCの基礎知識を整理してみたいと思います。箇条書きにしてみましたので、ご参考になれば幸いです。

◆ BSCが導入される主な背景

・達成目標の選択と集中ができていない
・目標達成のためのシナリオ不在
・シナリオへの合意とコミットメントが不充分
・PDCAサイクルを回す仕組みが無い
・BSCの特徴は、文字どおりバランスが取れることであり、単なる売上至上主義ではなく、顧客目線や従業員目線を含んだバランスのよいマネジメントにつながることが重要。
・BSCは、財務、顧客、業務プロセス、学習・成長などの4つの視点のバランスをとって企業戦略を検討する手法。

◆ BSCの4つの視点を理解する

BSCの4つの視点のバランスをとることは、それらの因果関係(連鎖)を高めて全体最適な戦略や目標を策定していくこと。
・財務の視点:財務目標、企業価値などの達成
・顧客の視点:顧客からの高い評価
・業務プロセスの視点:価値創造のプロセス(製品・サービス)
・学習・成長の視点:人や組織の能力(学習する組織)

  • 4つの視点を理解する

・「財務の視点」:株主の視点、経営者の視点、とも言われる。達成したい事業目標を測るための重要な指標。
・「顧客の視点」:社会の視点、環境の視点、とも言われる。顧客・社会などの評価が如何に「財務の視点」に寄与できるか。
・「プロセスの視点」:業務・改善・変革の視点、パートナーの視点、とも言われる。価値創造のプロセスで如何に「顧客の視点」に寄与できるか。
・「学習と成長の視点」:組織や従業員の能力の視点、とも言われる。どうなれば「プロセスの視点」が実現達成できるのか。

◆ BSCを構成する戦略マップとスコアカード

・戦略マップ:重要戦略をBSCの「4つの視点」で整理し、戦略(重要成功要因)間の因果関係を明確にし、戦略達成のためのシナリオを明確にし、関係者で共有化するために作成する。既存の戦略を評価検証するためにも使用されることもある。
・スコアカード:重要戦略の達成度(業績)を管理・評価するために、評価指標(KPI)と目標値(+期間目標)を検討・決定する。一般的には 「4つの視点」を基本型(=たたき台)として、視点の過不足や呼称を検討する

◆ 重要成功要因(CSF)とは

・重要成功要因(Critical Success Factor)。
・経営戦略(例えば事業計画として具体的に策定されているもの)の達成を実現するために非常に重要と思われる要因。
・上位の目的を達成するための重要成功要因の抽出選択が戦略全体の成否を左右する。

◆ 評価指標(KPI)

・評価指標(Key Performance Indicator)
・評価指標は、重要成功要因の実現度合いを測る(評価する)ために設定
・測ることが出来る定量的な指標の選択が望ましい。
・評価指標には、先行指標と結果指標がある

◆ スコアカードの目標のKGIとKPIを理解する

・ビジネスの目標を数値化して進捗管理する指標で、組織や個人が目標達成に向かって業務が順調に進んでいるかどうかを確認するための重要な指標。
・KGI(Key Goal Indicator)は最終目標に近い指標。
(例:売上高(金額)、営業利益(金額)、営業利益率(%)など)
・KPI(key Performance Indicator)はKGIを達成するための重要な数値指標。
(例:飲食店では来店客数(人)、平均客単価(金額/人)、食材比率(%)など)
・KPIを達成するには具体的な施策やアクションプランが策定される。
・ビジネスや担当業務によって、使用するKGIやKPIは異なるので、それぞれの組織が現実を踏まえて「何を達成したいのか」、「何をすべきなのか」を考えながら議論して設定することが重要。KGIを分解したロジックツリー(KPIツリー)を活用することも有効。

◆ BSCを活用した戦略の検証と提案の策定の一例

・組織が目指す経営戦略をBSC(戦略マップとスコアカード)で整理し、戦略の「あるべき姿」を「見える化」する。
・同様に、組織の現状をBSCで再現し、「あるべき姿」のBSCと、現状のBSCを比較検討して、戦略マップで示されたシナリオが妥当なのかどうか、現状のBSCで欠けているKGIやKPIがないかどうか、設定されたKGIやKPIの妥当性は大丈夫かなどを検討し、改善へ。

◆ まとめ

・設定されたそれぞれの目標は、組織や部門が最終的に達成すべき目標(例えば戦略目標、中期事業計画、等)の実現につながるように策定されていること。
・4つの視点の因果関係が考慮されていること。
・重要成功要因の選択基準が明確であること。
・成果指標が重要成功要因の達成状況を正しく把握できる。
・計画(企画)、実行、評価、結果のバランスと評価(PDCA)を行っていること。

(以上)